トーノZERO, THE BELKANアニメ感想家(笑)のアニメ感想を参ります。
今日の舞-乙HiMEの感想。
サブタイトル §
第23話「不思議の谷のアリカ」
あらすじ §
アリカとマシロは、アスワドの故郷、空間の狭間の黒い谷に入り込みます。
そこで、舞衣とミコトに出会います。
ミユもそこを訪問している者でした。
舞衣は、そこに迷い込んでミコトと契約したオトメでした。
ミコトは猫を使って外の世界のことを見ていました。
そこにナツキとナオも迷い込んで合流します。
ナギがハルモニウムの力を見せつけて各国に圧力を掛けていることを知ったナツキは、すぐに戻ろうとします。
アリカとマシロは、一緒に戻ろうとしますが、止められます。
ミコトに勝てたら出て行って良い、ということになりますが、アリカは全く勝てません。アリカはミコトを師匠として学ぼうとします。マシロは、実はジパングの姫である舞衣に学ぶことになります。
感想 §
舞-HiMEから舞-乙HiMEへのシリーズの流れを見た場合、致命的に欠落していたもの。それが、舞-HiMEの主人公たる舞衣の不在であり、ただ一人だけ猫として登場して人の姿を与えられていなかった命であったと言えます。
結局、舞衣は出ないのか……、あるいは命は猫の姿しか与えられないのか……、まあそれはそれで面白いかも……。などと思っていましたが、まさかこういう形で出てくるとは。(いや、舞衣の再登場はOPによって示唆されていましたが)
(ちなみに、本作では舞衣はジパング人なので名前は舞衣のままです。命はカタカナ書きのミコトになっているようですが)
二人の役所は、第2世代の少女達の悩みを受け止める良き先輩、良きお姉さんといったところでしょうか。
特に良いのは、悩むアリカに対して、何ら答えを投げかけはしない舞衣の態度です。それどころか、答えを求める態度を「ずるい」とすら形容します。しかし、そうは言ってもアリカの思いはきちんと受け止めています。誠実で良い態度ですね。
別の言い方をすれば、舞衣とミコトの登場により、この作品で決定的に欠落していたピースが埋まったと言っても良いと思います。
欠落していたピースとは、おそらく「母」です。
ニナに対するウォンのような立場で、「父」という立場は作品中にありました。しかし、「母」は決定的に欠落していたのです。何しろ、アリカも、ニナも、マシロも母を知りません。アリカを育てたのは「ばっちゃ」であるし、ニナは独身男であるウォンの養子、マシロは建前上の両親がとうに死んでいます。
このような状況で登場した舞衣は、いきなりローブの力で料理を作るシーンや、包容力があり、甘えることができる巨乳ぶりを見せつけることで、「母」という存在感を示します。それに加えて、おそらくはミコトもある意味での「母」に近い属性を持っていると言えるでしょう。少なくとも、誰に対しても圧倒的に強い同性という存在は、「娘」から見て乗り越えるべき壁となり、別種の「母」の存在感を示します。
今回の一言 §
ジパングの鴇羽巧海頭忠頼の姉君の舞衣姫(まいひめ)様であらせられる……。
ここで「まいひめ」という言葉を聞くとは……。
この台詞は、作中の設定に対して正当であり、全く世界観を壊していません。それにも関わらず、前作のタイトル「舞-HiME」の読みである「まいひめ」という言葉が織り込まれています。
これはもう、最初から慎重に準備されたことなのでしょう。世界観を壊さずにこの言葉を言わせるために、それまでの22話が組み立てられているのでしょう。
これはもう素晴らしい芸、職人のこだわりの世界と言えますね。
簡単にできることではありません。
ってか、普通なら忙しさに紛れて忘れてしまいかねません。
実に見事です。