2006年06月29日
トーノZEROアニメ感想ポケットモンスターtotal 5735 count

いいぞ、いいぞ、これは最高だ! 敗北を描き続けて指示される奇跡の作品! 本当に泣く価値がある敗北ドラマ!!

Written By: トーノZERO連絡先

 トーノZERO, THE BELKANアニメ感想家(笑)のアニメ感想を参ります。

 今日のポケモンAGの感想。

サブタイトル §

「ハルカVSシュウ! 最後の戦い!!」

あらすじ §

 ハルカとシュウのコンテストバトルは、僅差でハルカが勝利します。審査員達は、両者をいずれも称えます。

 サトシは、コンテストバトルを見て興奮したエイパムにバトルを誘われ、ゲットします。

 セミファイナルでハルカはサオリと対戦しますが、サトシに似た攻撃中心の戦い方を読まれます。相手のペースに乗せられたハルカは敗北します。

 ハルカは、他に誰もいないことを確かめてから、サトシ、タケシ、マサトの前で泣きます。

 シュウは、ハルカとコンテストで再会することを約束して立ち去ります。

感想 §

 ハルカはサオリに敗北しました。

 ベスト4に残ったものの、そこで敗退しました。

 グランドフェスティバル優勝は、なりません。

 サトシと同じように、ハルカも必死に努力を積み重ねて成長していますが、それでも頂点には立てません。

 これは、本当に娯楽映像作品の常識から言えば、あり得ない展開です。

 通常、主人公は最後には勝たねばならないのです。途中で負けても、最後は勝たねばならないのです。

 そうしなければ、視聴者は納得しないのです。

 しかし、ポケモンという作品はその常識が通りません。スタッフは、堂々と主人公が敗北するドラマを描き、視聴者もそれを受け入れ続けます。

 ここに、日本映像作品の良心と、それを正しく受け止めて支持し続ける視聴者達が存在するのだ……と言ったら、過言でしょうか?

更に感想 §

 シュウに対して互角に戦うハルカ。

 顔つきも立派になりました。

 一人前の人間の顔です。

 しかも、最後の最後では、シュウの1枚上を行ったとすら言えるでしょう。

 それにも関わらず、ハルカはサオリに敗北します。いかに強くなろうとも、上には上がいるわけです。

 そこで、サトシといつも一緒にいたために、サトシ風の攻撃中心のスタイルが身に付いてしまった……という指摘は大きな意味がありますね。そう考えると、ハルカとサオリの実力差とは、力の差ではなく、相手の性質を読み切ってそれに合わせられる判断力と柔軟性にあると言えるかもしれません。

 それは、ハルカの身になって考えれば、とても悔しいことでしょう。正面から力をぶつけあって敗北したというよりも、力を空振りさせられて自ら土俵の外に飛び出したようなものですから。

 とすれば、ハルカの気持ちは容易に予測できます。

 シュウには勝てたのだからこれでいいや、と思うことはあり得ないでしょう。やり方さえ分かれば、サオリとは互角に戦えたかもしれないのです。サオリとの再戦と勝利、それを目指すために自分とポケモンを高める旅がハルカの求めるものになったと考えて良いように思います。

 これは、言い換えれば、ハルカにとってシュウが乗り越えるべき目標ではなく、同格の存在になったことを意味します。そのことは、別れのシーンでハルカが持っていた薔薇の花が象徴的に表現しているようにも思えます。薔薇をサオリに託して去ろうとするシュウ。サオリから薔薇を受け取って追いかけるハルカ。つまり、二人の関係は花を贈り、それを受け取るようなもの、つまり、ある種の恋人関係に近いものになったわけです。戦うべきライバルというよりは、サオリへの勝利を目指す盟友であり、心の夫婦という感じでしょうか。

ハルカ、泣く! §

 凄く良いのは、ハルカが泣くシーンです。

 廊下でサトシ達の前で、さっと視線を左右に走らせて誰もいないことを確かめてから、大泣きします。

 それを、サトシとタケシが左右から肩に手を置いて慰めます。

 このシーンにおいて、サトシとタケシは、ハルカの真の理解者としてそこにいます。そして、私の勝手な印象を書いてしまうなら、この瞬間にサトシやタケシにとってのハルカは、一緒に旅をするビギナーから、同格の仲間に昇格したのです。油断なく、全力を出し切り、自分の全てを何もかもぶつけることで得る勝利の喜びと、それにも関わらず勝てない悔しさ。それを知る者は、彼らの同格の仲間です。ハルカは、このグランドフェスティバルで、完全にシュウやハーリーと同格の仲間という立場に立ちましたが、それだけでなく、サトシやタケシからも同格の仲間と扱われるに値する存在になったわけです。

で、次は? §

 先の展開を憶測で書いても仕方がありませんが。

 もしかしたら、ハルカはサトシと分かれて旅をすることになるかもしれません。サトシと一緒にいることによる弊害は今回指摘されています。バトルの幅を厚くするには、サトシと分かれて経験を積むことも大切でしょう。

 それは、ハルカが独り立ちした主人公としての風格を備えつつあることと、サトシがチャレンジャーというよりも「超えがたい壁」というべき成熟したトレーナーになりつつあることにも適合します。

 ゆえに、そういう展開もありかな……と思います。

今回の一言 §

 エイパムをゲットしたサトシ。それを見ていたギャラリーにコイキングを抱いたコイキング売りが!!

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