トーノZERO, THE BELKANアニメ感想家(笑)のアニメ感想を参ります。
今日のポケモンAGの感想。
作品タイトル §
劇場版ポケットモンスターアドバンスジェネレーション ミュウと波導の勇者ルカリオ
あらすじ §
WikiPediaの劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション ミュウと波導の勇者 ルカリオの項等を参照
感想 §
やっとTV放映されたので見てみました。
これはもう、最初から最後までとんでもない優れた映画ですね。
びっくり仰天。
これほど凄い映画が当たり前のように作られて、公開されるというのは本当に奇跡的なことでしょう。
それだけの賛辞を与えて良いと思います。
映像、シナリオ、テーマ、いずれを取っても抜きん出て素晴らしい水準です。
絞り込まれたストーリー §
特に優れているのは、内容を詰め込みすぎていないことです。
登場人物も過剰に多くありません。
舞台も広げすぎてはいません。
ストーリーを要約してしまえば、ルカリオがアーロンから裏切られたという誤解を解く物語ということができます。そして、そのメインラインの物語から過剰に大きく逸脱することはありません。簡潔で分かりやすい映画です。
更に優れているのは、サトシとピカチュウが別れ別れになるという展開です。サトシとピカチュウが完璧すぎるコンビであるがゆえに、他のキャラクターはサトシの心情に深く踏み込むことができません。それが、ポケモンというアニメの弱点と言えると思います。サトシが常に見続けているのはピカチュウであり、サトシが誰が女性を愛するような展開には持って行きにくいと言えます。それゆえに、「水の都の護神 ラティアスとラティオス」で見せたような、女の子(正確にはポケモン)がサトシに恋する展開はあり得ても、逆はなかなか難しかったと言えます。しかし、この映画では、ピカチュウがミュウに拉致されることで、ピカチュウ抜きのサトシが真剣にルカリオと向き合うというドラマを作り出すことに成功しています。しかも、ピカチュウを助けるというサトシの意志が、物語を進行させる強いモチベーションとして機能するために、サトシのピカチュウへの愛が弱まったという印象を与えません。非常に優れた構成です。
良い喧嘩のある映画は素晴らしい!! §
この映画の最大の収穫は、サトシとルカリオが喧嘩をするシーンだと感じました。
喧嘩をして急に仲良くなる……などという陳腐な展開はありません。
しかし、それによって相互理解が進み、さりげなく互いを信じる心が生まれるところが素晴らしいと思います。
良い喧嘩を描くことができた映画は、素晴らしい映画である……、と根拠はありませんが言ってみましょう。
ヒロインの魅力 §
この映画は、サトシとルカリオの物語です。
ヒロインは誰かといえば、ルカリオだと言って良いでしょう。
しかし、ポケモンの男の子をヒロインと呼ぶのはアレですから、女性キャラクターを見てみると……。
大昔のリーン王女、より明るく影を背負っていない現在のアイリーン王女のお姫様らしい魅力もありますし。
ハルカもいつもより女の子的な魅力を放つ機会が多いと言えます。
しかし、最大の見所はキッド・サマーズでしょう。彼女は、ルカリオの物語という意味では、あまり重要な役割を背負っていません。しかし、バンドで言えばベースにあたる、「無いと何かが物足りない」という重要な立場を担っていると感じます。キッドは、レギュラー陣から見て、ルカリオと逆のポジションにいるキャラです。彼女の存在が、ルカリオとのバランスを取っていると言えるのかもしれません。
パロディ §
お城は、「ルパン三世カリオストロの城」のお城に似ていますね。
しかも、屋根の上ではニャースがルパン走り(ただし不発)を見せてくれるし。
しかし、これだけ優れた映画の一部であるならば、問題なく許します。
今回の一言 §
ルカリオって、一生懸命で誠実で良い奴だよなぁ。
結局のところ、そう思えることが良い後味を残せた理由だと思います。