少女、水、肌、濡れる、潜る、スクール水着、異星人、異文化接触、不思議な生き物、人工物、レトロ感のある1980年代の描写、そして田園風景。
ああっ!
これは最高です!
趣味に合うというか、表現方法のオリジナリティが高いというか、絶品ですね。
特に特筆すべきポイントは、性行為そのものの描写に踏み込むことなく描き出された官能性です。粟岳さんの作品には、性行為そのものに踏み込んでいる作品もありますが、このコミックスに収録されている作品に関して言えば、「裸を目撃される」という以上に踏み込んだ性行為は存在しません。それにも関わらず、下手をすれば凡庸な性行為描写とは桁違いの強い官能性を意識させられます。
それは、人間の官能性の本質が、けして棒を穴に入れるというような矮小なものではないことを示しているのでしょう。フェティシズムのように、棒と穴を必ずしも使わない手段で官能を得る手段も存在しますが、このコミックスの作品群は、より原始的な皮膚感覚に後退することで、より本質的で深い官能性を得ようとしているように見受けられます。確かに、頻出するスクール水着はある種のフェティシズムの存在を示しているように思われますが、そうではありません。スクール水着とは、水に入り濡れるための手順であり、官能性は皮膚が濡れる感覚(あるいは見られる感覚、あるいは両方)によってこそもたらされるのです。
順位付けするなら §
単なる裸よりも、衣類を着たエロ(=着エロ)の方が官能性が高い……という比較を肯定するなら、粟岳作品の官能性は、着エロの更に上を行くような気がします。
余談 §
カバーを取るとそこにもネタが……。