2006年09月14日
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ついにADVANCED GENERATIONの最終回・それは別れと自立と旅立ちのドラマ!!

Written By: トーノZERO連絡先

名シーン(画像公開ポリシー)

サトシとピカチュウは、未知の世界に胸を躍らせる。だが、それは単に興奮しているという意味ではない。栄光の頂点を極めた二人にとって、挑戦すべき新たな世界の存在は、閉塞的な気持ちを打ち破る特効薬そのものなのだ。

 トーノZERO, THE BELKANアニメ感想家(笑)のアニメ感想を参ります。

 今日のポケモンAGの感想。

サブタイトル §

「旅の終わり、そして旅の始まり!」(最終回)

あらすじ §

 ハルカとサトシのコンテストバトルは同ポイントで終わり、両者優勝となります。

 二人は1つのメダルを2つに割り、分け合います。

 ハルカは、自分一人でカントーに行くと宣言します。

 一緒に行けないと分かったマサトはハルカやサトシを羨ましいと思います。サトシは、マサトがトレーナーになったら最初にバトルをするという約束を交わします。

 ハルカとマサトは家に帰るために船で旅立ちます。

 サトシとタケシも別れ、サトシはマサラタウンに向かいます。

 ロケット団は見たこともない珍しいポケモン、エレキブルを発見し、ゲットしようとします。しかし、それはシゲルがシンオウ地方から連れてきたポケモンでした。

 ロケット団を倒そうとするサトシを制して、シゲルはエレキブルでロケット団を追い払います。

 オーキド研究所に戻ったサトシは、母、オーキドらの歓迎を受けます。

 しかし、サトシはご馳走そっちのけで、シゲルのエレキブルとの戦いを望みます。

 サトシのピカチュウは、シゲルのエレキブルに敗北します。

 シンオウ地方には、まだまだ強力なポケモンがいると言い残してシゲルはシンオウ地方に戻っていきます。

 サトシは、自分もシンオウ地方に行くことを決めピカチュウだけを連れて旅立ちます。サトシに新しい服を作ってやろうと考えていた母は、あまりの慌ただしさに間に合いませんでした。

 残されたエイパムは勝手に船に乗り込み、サトシに付いていきます。

今回の感想 §

 今回の内容は、別れ、自立、そして新たなる旅立ちを描いています。

 しかし、それはサトシの旅立ちや、ハルカの旅立ちこそがテーマである……という単純な構図ではありません。

 今回の主役は、マサト、シゲル、そしてタケシ、場合によってはサトシの母親だと言った方が良いかもしれません。

 なぜかといえば、ハルカの旅立ちは、既にこれまでの展開の中で明確に示されてきたものであり、サトシの旅立ちはシゲルの誘いによって生じたものだからです。

 まずは、シゲルについて見てみましょう。シゲルは、どうやらシンオウ地方でポケモンの研究をしているようです。つまり、マサラタウンにいる必要のない人間です。なぜ、このタイミングで彼が里帰りしていたのかといえば、サトシに会うためとしか考えられません。彼は、より価値のある難度の高い挑戦が存在することを示し、バトルフロンティア制覇の結果として明確な目標を失いつつあったサトシに、新しい目標を与えたのです。シゲルはけして言葉に出して言いませんが、これは友情そのものでしょう。他人のためにわざわざ手間を費やす行為は、友情と呼ぶに値します。

 次は、マサト。彼の立場は非常に微妙です。彼は旅をする必然性を全く持たない少年であり、旅をする一行の中での役割は地図の確認係であったり、綺麗なお姉さんを口説くタケシの耳を引いて引き離す係であったりします。しかし、そのような役割をマサトが行わねばならない必然性は何もありません。それでもマサトがサトシ達の仲間として旅をすることができたのは、サトシ、タケシという旅のベテランに加え、姉のハルカという3人の年長者が揃ったことによる、ある種の「ゆとり」のおかげでしょう。しかし、この3人が2人に減った場合、もはや子供を連れて行く「ゆとり」は失われてしまうような気がします。ハルカの自立宣言とは、マサトを連れて行かないというハルカの決意だけでなく、マサトの居場所そのものが消失することを意味するような気がします。

 ここで、必然的にマサトが踏み越えねばならない問題とは、年長者達の「ゆとり」によって存在を許される子供からの脱却です。つまり、彼はポケモントレーナーを真剣に目指さねばならなくなったのです。それは、もはや年長者を頼りながら旅についていく立場ではいられないことを意味します。であるからこそ、サトシの「トレーナーになったら最初にバトルしよう」という約束こそは、トレーナーを目指すマサトの困難な道に目標を指し示す暖かい申し出と言えるのです。

 次はタケシです。これはもう、腹が減ったという理由で別れを惜しむ時間もなく走り去っていくサトシを見送るタケシの顔を見て納得するしかありません。

 最後のサトシの母親は、相矛盾する2つの心情を見せてくれます。しばらく滞在してくれれば新しい服を作ってやることができるのにすぐ旅立ってしまう……という心。そして、そうやって常に旅を続け、どんどん逞しくなっていく息子を頼もしく思う心。悲しくもあり、嬉しくもある心情が見られるところが、1つの魅力ですね。

ADVANCED GENERATIONというシリーズとしての感想 §

 ADVANCED GENERATIONは、人生の目標も明確に持たない少女、ハルカがサトシと共に旅を始めるところからスタートします。

 そして、先輩格のサトシ、タケシ、そして弟のマサトから支えられながら、必死に試行錯誤し、自分が進むべき道を見出します。

 サトシも、最初の頃は先輩格のタケシとカスミに支えられながら、必死に試行錯誤していたわけですが、それと同じことです。

 サトシが一人でもやっていける一人前に成長したように、ハルカもまたそのような立場にまで成長しました。

 もちろん、ハルカの成長がここで終わるわけではありません。一人で旅ができるというのは、1つの通過点に過ぎません。それでも、ドラマの終着点としては1つの区切りと言えます。それは、この先のハルカの人生は、ハルカ自身のためのものであり、それをこの先も詳細に立ち入って描き続けることは野暮だろう……ということを意味します。別の言い方をすれば、最も輝かしい瞬間をもってドラマから退場していくのは、魅力ある少女の選択肢としては優れていると言えるでしょう。

ポケモンシリーズ全体としての感想 §

 意欲だけは人並み以上だが、知識も実技もからしき駄目という最低の新人トレーナーとしてスタートしたサトシ。

 サトシが旅の途中で出会ったライバル達の中には、経験豊富でどうあがいても勝てない圧倒的強さを備えた大人達がいました。他のライバルには、運と信頼と根性と奇跡があれば、サトシは勝てるかもしれません。しかし、こういうタイプのライバルに勝つことは無理だったと言えるでしょう。このような者達が存在する限り、サトシが大会で優勝することは不可能と言い切っても良いでしょう。

 しかし、バトルフロンティアというある種の非公式のマンツーマンのバトルを通して、サトシはそういった経験豊富な大人達の仲間入りを果たしたと言えるかもしれません。それは、「正解が存在しない世界」に足を踏み入れることを意味します。初心者には正解が存在します。たとえば、相手のポケモンに対して、相性の良いポケモンを出すことは初心者にとっての獲得すべき正解です。しかし、ある水準を超えた後には、そのような明快な正解はありません。そこで問われるのは、自分なりのバトルスタイルであり、信念であり、人生哲学です。

 自分なりのスタイルを問題にするジンダイとのバトルでサトシが手に入れたものは、おそらくそのようなものなのでしょう。

 つまり、サトシはポケモンの作品世界に置いて、最高ランクの者達の仲間入りを果たしたことになります。それは同時に、終わりのない自己鍛錬と追求の世界に足を踏み入れたことを意味します。それは「正解のない世界」だからです。

つまりだ §

 『それは「正解のない世界」だからです。』などという言葉で感想を締めくくれるとは、ポケモンAG最高だっっっっ!!!!!

 こんな素敵なアニメが、今時いくつあるというのだ? (ほとんどのアニメを見ていないので、実は数えられない……)

今回の一言 §

 そうそう。忘れずに書かねばならないのは、こっそり後を付いてきたエイパムです。こうして、深い情で結ばれたポケモンとサトシの間に、新しい物語が生まれていくわけですね。

余談 §

 バトルフロンティアの本質とは、実はエニシダのために行われるプライベートのバトルだったのかもしれませんね。

 しかし、観客が知り合いのみ……というバトルは、実はバトルの本質を追究していくために、とても好ましい場として機能したのかもしれません。

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