2006年09月16日
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蟲と眼球とテディベア 日日日 メディアファクトリー

Written By: 川俣 晶連絡先

 やっと読み終わりました。

 まあ、魅力がないわけではないし、18歳が書いた作品ということを考えれば「よくできました」という評価を付けるべきかもしれませんが。

 一般論として金を取る商品として見た場合、あまりに未熟でありすぎる感があります。表現力、構成力、人間の心理を洞察する力などが決定的に不足していると思います。

 ただ、繰り返すなら、18歳ならこの内容は良いところでしょう。それゆえに、この作品に賞を与えるという行為そのものに問題があったと感じます。

 まあ、そういうわけで、突き詰めていくと問題の根源は作品にも作者にも無く、日本語と小説と人間をなめているライノベ業界(の一部かもしれない)にあるような気がします。

別の感想 §

 これは、私から見れば他人に勧められるような立派な作品ではありません。

 しかし、これを私に勧めた人がいるわけです。その人からすれば、これは勧める価値がある作品だったわけです。

 そこに思い至った時、ハッと思ったことがあります。

 それは、「同じ作品を目の前にしていながら、私と別の誰かは同じものを見ていないかもしれない」という認識です。

 たとえば、映画「耳をすませば」に典型的に見られる現象であるし、ワンピース、NARUTO、ポケモン、妖逆門といった作品群についての評価のミスマッチにも見られるような気がします。

 そこで問題となるのは、「歴然と描かれているにも関わらず受容されない」要素に関して、いかにしてミスマッチを解消できるのか、あるいは、できないのかです。

 これはなかなか重い問題で、とりあえず答はありません。

一応の区切り §

 他人に勧められた本(コミック含む)を読むという作業は、ここで一区切りとします。

 正直、自分が直感だけで行うギャンブル買いよりもヒット率は低いというのが結論です。

 つまり、「客観的に見て比較的多数の人が面白いと感じられるであろう本」と、「自分の心の過不足との相性の良さから非常に好感を持つ本」の区別がうまく付いていない感がある……ということです。

 ただ、本当に凄いものを勧めてくれる人はいます。そういう人が勧めるものは、事前に予断を持たず、虚心に読んでみる価値があると思いました。

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