とりあえず、2回読んだ時点での感想。たぶん、また何回も読むと思います。
折り返し著者近影はドライバー持ってSSDを組み込んでいる絵 §
さすが濃いマニアです。
ちなみに私もSSD搭載ノートPCが欲しいです。
現状、自由な姿勢で振り回してノートPCを使った場合、1.8インチHDDは最も脆弱なパーツという実感があるので。
似合わない表紙の明日菜 §
エヴァから与えられた服ですが、明日菜のキャラクターにはあまり似合っているようには見えません。しかし、これは似合っていないからこそ価値があるファッションでしょう。
つまり、通常人間と人間は一定以上の距離を保とうとしますが、その距離を超えてエヴァと明日菜は接近したことを意味するからです。2人は明らかに特別な関係に踏み込んでいます。
相手が好きな服を着るというのは、そういう距離感の近さを意味します。
風呂から吹っ飛ばされる明日菜 §
この巻で最も良いシーンだと思います。
雪山の修行で甘やかされ、風呂に入った明日菜に怒ったエヴァは、全裸の入浴中の明日菜を極寒の野外に吹っ飛ばします。
実は、この巻になってエヴァの明日菜に対する態度は変わっていますが、クウネルから明日菜の正体を聞いたからでしょう。きちんと、聞いたという回想が挿入されています。そして、この巻の冒頭、明日菜が見る夢のシーンで、クウネルが明日菜の正体をどのような形で知ったのか……が描かれています。構成的な上手さも絶品です。
ある意味で、この巻は、エヴァによる明日菜への愛によって貫かれていると言っても良いですね。
茶々丸姉妹のメイド服 §
風呂上がりにネギパーティーの少女達が着ています。
しかも、格好良く決まっています。
通常、メイド服とは使用人が着るものであり、それを着ることは自分を格下に位置づけることに他なりません。
ところが、この状況下で彼女らは最初からネギの従者であって、「従える者」ではなく「従う者」であるわけです。
そして、このメイド服は、「従う者」としてのファッションがよりパワーアップしたことを意味します。
それゆえに、このファッションは彼女らをより高い水準に引き上げたと言えます。
黒ゴスロリ服 §
クウネルといい、エヴァといい、自分の好きな服を、自分の気に入った相手に着せたがるというか何というか…… (笑。
ファッションを好意の演出に使うのは、目に見えない「心」を表現する良い方法です。
ゆーなも魔法使い関係者 §
子供時代のゆーなは魔法使いの星形の杖を持っていますね。
ゆーなの父親も学園の魔法関係者でいろいろな事件の背景を調べているようだし。
この先、ゆーながネギとどう絡むのか。敵か味方か。第2次ネギパーティーでガンナーのポジションを得るのか、先が楽しみですね。
ちなみに、ガンナーというのはFINAL FANTSY X-2のジョブの1つであり、主人公ユウナの初期状態でのジョブです。魔法や剣ではなく銃を使って戦うタイプです。RPGで銃を使うジョブが全てガンナーと呼ばれているわけではありませんが、ここはやはりガンナーと呼びたい (笑。
175時間目の扉絵 §
凄く良い絵です。
修行の合間の一コマ……という感じですが、その前後で何が起きているか、どんな会話をしているか、2人がどういう気持ちなのか、時間と空間の広がりを含めて「たった1枚の絵」で伝わってきます。
実に見事。
「いやホントか?」 §
イギリス旅行が言うほど楽ではないことに、千雨だけが気付いています。
電子精霊の力でブログ女王になっても、それが空しいことに自分で気付いているし。
千雨というのは、非常に特異な立場を持った魅力あるキャラですね。
読者コーナーにも千雨にはまっているという子供の投稿があるし。
ラテン語の呪文の味 §
今回も、ラテン語の呪文がいい味を出していますね。
特に、ゆえと本屋がバッジ争奪戦で次々に繰り出す呪文の数々が圧倒的です。
的確に次々と繰り出すゆえ、「ササキエ・マキエー」のようなラテン語読み(?)で人名を呪文に織り込む本屋など。
全般的な感想 §
大傑作だった学園祭編とは全く異質な別の作品に変貌した巻があります。
18巻まではまだ学園祭編の余韻で走っていた感じがありますが、19巻はもう別の世界です。そのため、最初は「あれっ」と外されたような感じがしましたが、読み直しているうちに別の意味で凄い作品になっていることに気付きました。
勝利の法則を踏襲せず、新しい世界に踏み込んでいく……というのは実は「負けないための正しい唯一の選択」です。どれほどリスクが高くても、過去を踏襲するよりもリスクは低いのです。それを正しく実践している点が、赤松健という人物の優秀さでしょう。(理解されないことも多いとはいえ)