2007年07月27日
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雑誌付録の色プラとして出現するファインモールド 1/72 零戦21型はもしかしたら「正しい」かもしれない!?

Written By: 川俣 晶連絡先

 Model Graphix (モデルグラフィックス) 2007年 09月号に載ったファインモールド 1/72 零戦21型の話題を見て、これはもしかしたら「正しい」かもしれないと思ったので、簡単に書いておきます。

正しい模型とは何だろう? §

 実は、最近になって、「正しい模型とは何だろう?」という疑問を持っていました。

 「仮組みしてカッコイイ! 「バンダイ 緊急発進セイバーキッズ 1/144 PX-01-SSスカイセイバー」」にて、以下のように書きました。

 今時のガンプラと比較すると、かなり劣ります。

 しかし、そういう「部品数が少なくすぐ遊べる」「ちょっと手を入れるだけで劇的に良くなりそうな感じ」が、プラモの良いところのような気がします。

 問題意識の発端はこのようなところにあります。

昔語り §

 子供の頃、プラモというのは一気に勢いで組み上げて「もう終わり?」と思うものでした。

 しかし、今のプラモは、部品を付けても付けても終わりません。

 とりあえず、必要な部品を全て付けた時点で力尽きます。片手間のストレス解消の遊びに費やすことができる時間と労力は、このあたりで尽きます。(フルスクラッチのGK原型なら、もっと大きな時間と労力を注ぎ込むが、それはまた別の話)

 で、ガンプラはこれでも良いのです。色プラだから、一応できたことにできます。

 問題はスケールモデルです。これは、たいてい整形色は1色のみで、色を塗らないと話になりません。しかし、それだけのエネルギーはもう残っていません。

 これは、色を塗るのが嫌いという意味ではありません。むしろ、色を塗るのは大好きです。プラモは立体塗り絵だという解釈がしっくり来るぐらい塗るのは好きです。そういう観点から言えば、今時のプラモの問題は、「塗る段階に達するまでの手間が多すぎる」ことにあります。

楽し模型の条件 §

 そこから逆算して考えていくと、楽しい模型とは、上記のような条件を満たすものだと言うことに気付いたわけです。

 より具体的に言い換えれば以下のような条件となります。

  • 一応完成したと言える形まで短時間で持って行ける (可能なら色すら塗らないで済むべき)
  • その段階ではぬるい仕上がりで良い。なぜなら、ぬるい仕上がりだからこそ、創意工夫を少し発揮するだけで劇的な改善ができるから。そして、工夫を発揮する人それぞれに異なった改善が行われ、作品に個性が出やすいから

 ファインモールド 1/72 零戦21型は、もしかしたらこの条件を満たすかもしれません。

 つまり、部品数が少なめであり、とりあえず組み立てて色を塗らずにデカールを貼るだけである程度完成したといえる形になり、ちょっと色を入れてやるだけで劇的に見栄えが良くなりそうな予感が感じられるということです。

見落とされたのは誰か §

 このように考えると、今時のスケールモデルのシーンで見落とされている人達は誰か……ということが見えてくる感があります。

 つまり、模型に人生を掛けていない模型好きです。

 彼らにとって必要なのは、まず楽しいことです。

 楽しい……と思ってもらうためには、過大な負担を強いてはいけないという制約が付きます。

 そこから必然的に、模型を過剰に精密化することは適切な選択ではないことになります。

 スケールモデルである以上、模型は正確であるべきですが、精密であるべき……とまでは言えないことになります。

 さて、ファインモールド 1/72 零戦21型は、よく精密に出来ていると思いますが、それは手間を増やさない範囲内での精密化です。

 これは、見落とされた者達にとっては嬉しい特徴……となるのかもしれません。

見落とされた者達の重要性 §

 なぜ見落とされた者達が重要なのかといえば、彼らの方がコアなマニアよりも圧倒的に多数派だろうと思うからです。彼らがプラモを買うようになれば、圧倒的に市場が広がるはずです。

 もしかしたら、どこの街にもプラモを売る店があった時代が戻って来るかもしれません。

ミニスケール趣味との関連 §

 1/72~1/76のAFVや、1/144の航空機模型を好む……というのは、もしかしたら上記のような話と連動して理解できるかもしれません。部品が少なく、すぐ組み上がり、すぐ色が塗れるからです。精密さでは劣りますが、塗っていて楽しいのは間違いありません。

ガンプラ趣味との関係 §

 ガンプラではMGよりHGUC、UGUCよりFGが好きです。

 いちばん楽しかったガンプラはFGガンダムです。あっという間に組み上がって、あとはひたすら塗っていたような気がします。MGは、部品が多すぎて組み立てるだけで力尽きるので、あまり好きではありません。

結論は無し §

 とりあえず、現在の話はこれで終わりです。

 次の手順は、実際に問題のキットを手に入れて組んでみることになります。それを通して、自分なりの結論が出るでしょう。

 などと気楽なことを言っていると、気付いたときには売り切れていて買えなかったりしてね (汗。