あまりに良かったカットがあったので思わずキャプチャ。
まず、遠方からポケモンハンターの車両が来ます。
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そこからカメラが右にパンして、いきなり間近にヒカリの足が見えます。足フェチでもない限り、本来ならあり得ないカメラアングルですが、この足が距離感を語ると同時に、雄弁にヒカリの驚きの心情も語っています。もちろん、不自然さが緊張感と驚きを印象づけるわけです。
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更にカメラは右にパンして、走ってくるタケシ、サトシ、ピカチュウの背中を描きます。ここでは足ではなく背中です。本来、心情を表現するには顔を描く訳ですが、ここでは背中と身体の動きで心情を描いています。
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トーノZEROのアニメ感想です。
今日のポケモンDPの感想。
サブタイトル §
「ハンターJ再び!タテトプスを守れ!!」
あらすじ §
サトシ達は、テンガン山で珍しいポケモンのタテトプスと出会います。
シゲルは、タテトプスを保護するために活動していました。
ポケモンハンターJは、依頼主からタテトプスを手に入れるよう依頼されていました。
サトシとシゲルは協力してタテトプスを守り、ナナカマド博士に届けようとします。
ナナカマド博士と合流したジュンサーを恐れた客は、契約を勝手に破棄して逃げてしまいます。
Jはタテトプスを捕まえる必要性が消失して、そのまま立ち去ります。
感想 §
今回はいくつもの見所がある感じです。
1つはドラマ作りの方法論として、安易に「敵」「味方」に分けず、全員が1人1人、別々の意志を持った人間としてきちんと描いていることです。
最近だと、このようなドラマ作りを貫徹している例として仮面ライダー電王があります。電王に出てくる敵であるイマジンの目的は電王を倒すことではありません。ですから、彼らは戦いたいと思わなければあっさり逃げます。更に、主人公の仲間となった4人のイマジンも、それぞれ自分の世界を持っていて、けしてひとまとまりの「仲間」になったりはしません。
それは本来なら当たり前のことです。
ですから、それを描くのはドラマ作りとしてはとても良心的です。
今回の内容も同様で、Jはロケット団やサトシ、シゲルを倒すことには全く興味を示しません。Jの客も、意識するのはジュンサーだけであり、サトシ、シゲルは眼中にありません。そして、今回のストーリーを決定的に決着させたのは、サトシでもシゲルでもなく、ジュンサー接近に怯えた客であると言えます。彼が逃げたことで、結果的にタテトプスは守られたわけです。
更に感想 §
それにも関わらず、今回の事件はサトシにとって重要な意味を持っています。
「コンプレックスと承認」と言ったらよいでしょうか。
シゲルと再会したサトシが直面するのは、オーキドの孫という血統も良く、既に自分の仕事を見つけて充実した人生を送るかつてのライバルです。
そして、サトシはそういうライバルと比較して見劣りする自分を意識してしまいます。
実際、今のサトシは上手く行っていないわけです。自分の道もきっちり貫徹できていないし、迷いも多くあります。
ある意味、サトシは彼自身が持っている実力や水準を上手く発揮できないジレンマに直面していると言っても良いと思います。
しかし、最終的にシゲルが示したのはサトシを見下す態度ではなく、サトシを賞賛し、承認する態度です。
それは、サトシにとっては大きな心の助けであり、希望でしょう。
あのシゲルに認められるというのは、サトシが失いかけていた自身を取り戻す良い刺激になるはずです。
今回の一言 §
オーキド博士の孫が、ナナカマド博士と仕事をしている……という状況は意味が深いですね。自分の血族と無関係の他人と一緒に仕事ができるということは、シゲルも独り立ちした男になったのだ……ということを示します。
だからこそ、シゲルに承認されるサトシは、そこから大きな自信をもらうことができるのでしょう。