学校探偵・内山田教諭とスクールファイブ
Amazon.co.jp


小説・火星の地底世界バルシダー
Amazon.co.jp


火星の地底世界の古代王国【合本】
Amazon.co.jp


宇宙重巡洋艦高尾始末記: 辺境艦隊シリーズ合本
Amazon.co.jp


全艦出撃! 大宇宙の守護者: オルランド・スペース・シリーズ合本
Amazon.co.jp


青春小説 北区赤羽私立赤バニ学園: 制服はバニーガール女装
Amazon.co.jp


坂本龍馬対ゾンビ: Japanese Dawn of the Dead
Amazon.co.jp


彼の味方は動物達と月の姫
Amazon.co.jp


小説・宇宙機動遊撃艦隊: ラト姫物語・セラ姫物語合本
Amazon.co.jp


本土決戦1950: 無敵! 日本陸軍ジェット戦闘隊
Amazon.co.jp


魔女と勇者の秘密: 遠野秋彦ファンタジー小説合本
Amazon.co.jp


無敵合体ロボ軍団 ~遠野秋彦ロボット小説合本~
Amazon.co.jp

2007年12月06日
遠野秋彦の庵小説の洞total 2082 count

猫コタツ

Written By: 遠野秋彦連絡先

 あるところに、お爺さんと猫が暮らしていました。

 もともと、お爺さんはネズミ退治に猫を飼うようになったのですが、この猫はたいそうネズミ狩りが大好きで、瞬く間にお爺さんの家のネズミ被害は僅かなものになりました。

 その結果、お爺さんは猫をたいそう気に入り、可愛がるようになりました。そして、いつの間にか、猫はお爺さんにとって子供も同然の存在になりました。

 さて、そうは言っても、猫の寿命は短いものです。

 お爺さんはまだ元気だというのに、猫の寿命は尽きようとしていました。

 猫は、自分がもう長くないことを察知していました。そこで、身体が動くうちに、近隣のネズミの住み処を全て壊滅させ、もうネズミ被害が出ないようにしておきました。これでもう、自分がいなくても、お爺さんはネズミで困ることはないはずです。

 しかし、猫にはまだ1つ心残りがありました。それは、湯たんぽ代わりになって、寒い日にお爺さんと一緒に布団に入って、冷えたからだを温める役目を務められなくなることです。

 そこで、猫はお爺さんに飼われる前の家にあったコタツのことを思い出しました。

 コタツなら機械だから寿命はありません。

 自分がコタツだったら良かったのに。

 猫はそう思いました。

 だから、天に召される間際に、猫はお爺さんにこう言い残しました。

 「生まれ変われるなら、コタツになりたい」

 それを聞いたお爺さんはびっくり仰天です。

 何せ、猫が人間の言葉を喋るなど聞いたこともありません。

 本当は、長く生きすぎた猫が獲得した妖力のなせる技ですが、お爺さんはそのようなことは知りません。これはきっと何か深い理由のある奇跡が起こったのだとお爺さんは考えました。

 そして、お爺さんはその言葉を実現しなければならないと考え、猫の皮でコタツを作らせることに決めました。猫の皮で作る以上、当然人間が入れるサイズのコタツはできません。しかし、どうしてもコタツを作らねばならなかったのです。

 さて、お爺さんはその後も元気に長生きし、天寿を全うしました。

 しかし、お爺さんが亡くなった後、ほとんど音信もなかった親戚達が集まると、彼らはみな首をかしげました。お爺さんが残した財産らしい財産といえば、猫の皮で作った小さなコタツだけだったのです。しかし、何に使うものか、皆目見当が付きません。

 結局、親戚のうちの1人が引き取り、そのまま屋根裏に放り込んで忘れてしまいました。

 その屋根裏にはネズミが住んでいました。ネズミは、ぽつんと放置された小さなコタツを発見して喜びました。ネズミであっても本当はコタツが大好きなのです。しかし、いつも猫が入り込んでいて危険なので入らないだけなのです。

 ネズミは強い猫の匂いに警戒しつつも、コタツに入ってみました。

 次の瞬間、ネズミはコタツの内部に強い力で引き込まれました。

 そして、「ムシャムシャ」という音が聞こえたかと思うと、コタツの外にネズミの骨だけが放り出されました。

 そう……。

 実はコタツは単なるコタツではなく、猫の残留思念が猫の皮に残った妖力でつなぎ止められた妖怪「猫コタツ」だったのです。

 しかし、猫の記憶のほとんどは既に失われていました。

 コタツが覚えているのは、コタツ、ネズミ、そしてお爺さんがとても大切だったということだけです。しかし、なぜ大切だったのかはもう覚えていません。

 このうち、コタツの大切さは良く分かりました。自分がコタツである以上、それは大切です。

 そして、ネズミの大切さも食べてみてやっと分かりました。それは美味しいのです。

 そこでコタツは考えました。

 すると、お爺さんも食べたら美味しいのだろうか。

 しかし、今のサイズではお爺さんを食べることはできません。

 コタツは、ネズミを食べて獲た妖力を発揮して、自分の身体を巨大化させました。人が入れるサイズのコタツになったのです。

 それから数日後、屋根裏を探検に来た子供がコタツを発見しました。

 「あ、コタツだ! このコタツ、僕が使っていい?」

 呼ばれてやってきた母親は、コタツを見て首をかしげました。

 「変ね。こんなコタツあったかしら。でも、ダメよ。お爺さんがコタツを欲しがってたでしょ。これはお爺さんの部屋で使います」

 コタツは心の中で小躍りして喜びました。しめしめ、これでやっとお爺さんも食べられるぞ。

おわり

(遠野秋彦・作 ©2007 TOHNO, Akihiko)

★★ 遠野秋彦の長編小説はここで買えます。

Facebook

遠野秋彦

キーワード【 遠野秋彦の庵小説の洞
【小説の洞】の次のコンテンツ
2007年
12月
20日
テナンとボシュー
3days 0 count
total 2184 count
【小説の洞】の前のコンテンツ
2007年
11月
22日
短パン小説
3days 0 count
total 3121 count


学校探偵・内山田教諭とスクールファイブ
Amazon.co.jp


小説・火星の地底世界バルシダー
Amazon.co.jp


火星の地底世界の古代王国【合本】
Amazon.co.jp


宇宙重巡洋艦高尾始末記: 辺境艦隊シリーズ合本
Amazon.co.jp


全艦出撃! 大宇宙の守護者: オルランド・スペース・シリーズ合本
Amazon.co.jp


青春小説 北区赤羽私立赤バニ学園: 制服はバニーガール女装
Amazon.co.jp


坂本龍馬対ゾンビ: Japanese Dawn of the Dead
Amazon.co.jp


彼の味方は動物達と月の姫
Amazon.co.jp


小説・宇宙機動遊撃艦隊: ラト姫物語・セラ姫物語合本
Amazon.co.jp


本土決戦1950: 無敵! 日本陸軍ジェット戦闘隊
Amazon.co.jp


魔女と勇者の秘密: 遠野秋彦ファンタジー小説合本
Amazon.co.jp


無敵合体ロボ軍団 ~遠野秋彦ロボット小説合本~
Amazon.co.jp

このコンテンツを書いた遠野秋彦へメッセージを送る

[メッセージ送信フォームを利用する]

メッセージ送信フォームを利用することで、遠野秋彦に対してメッセージを送ることができます。

この機能は、100%確実に遠野秋彦へメッセージを伝達するものではなく、また、確実に遠野秋彦よりの返事を得られるものではないことにご注意ください。

このコンテンツへトラックバックするためのURL

https://mag.autumn.org/tb.aspx/20071206125248
サイトの表紙【小説の洞】の表紙【小説の洞】のコンテンツ全リスト 【小説の洞】の入手全リスト 【小説の洞】のRSS1.0形式の情報このサイトの全キーワードリスト 印刷用ページ

管理者: 遠野秋彦連絡先

Powered by MagSite2 Version 0.36 (Alpha-Test) Copyright (c) 2004-2021 Pie Dey.Co.,Ltd.