この件は、『「春の小川」よりも興味を引かれる「代々木・千駄ヶ谷の小川」は玉川上水の水が流れていた』の続きとなります。
『特別展「『春の小川』の流れた街・渋谷 -川が映し出す地域史-」(図録) 白根記念渋谷区郷土博物館・文学館』で最も引っかかったのは、第4章の地図に掲載された南新宿駅下の遺構です。線路の下をくぐる水路の跡がはっきりと残っています。
この写真を最初に見たとき、これはぜひ現物を見たいと思いました。
そして、今日これを見ました。以下の写真は線路の北と南です。北の写真が図録に掲載された箇所です。
左の写真は、柵の内側に水路の遺構が見えます。右の写真は正面奥の穴が水路跡です。
その他、同図録第4章「代々木・千駄ヶ谷の小川」の掲載流路のうち、山手線以西について、掲載ラインのほぼ全てを歩いてきました。
詳しい話は再掲地図の後に書きます。
地図の再掲 §
大きな地図で見る
上図は、「代々木・千駄ヶ谷の小川」の上流部です。
『特別展「『春の小川』の流れた街・渋谷 -川が映し出す地域史-」(図録) 白根記念渋谷区郷土博物館・文学館』第4章の地図掲載水路跡のラインを上流部より山手線を越える部分のラインに限ってプロットし、これに若干の補足を追加したものです。
- 赤線は「早い時期に消滅したと思われる水路」
- 青線は「戦前に暗渠になった部分
- 水色線は「戦後に暗渠になった部分
問題はどこにあったのか §
写真を見てすぐに行けなかったのは、どうも地図上でうまくあたりを付けられなかったからです。地図を見ながら行けば済む……と思っていましたが、実は上記のラインをGoogleマイマップできちんと引いて、誤認が多かったことに気付きました。似たようなラインの道路が地図上で複数あったのです (実は実際に歩いていて2回ほど間違った)。また、小田急線の線路をくぐっている道路と、くぐっていない道路があることも分かりました。
その結果、上記地図が、現地に行く決め手になりました。
寸断の数々 §
学校や鉄道などで寸断された水路跡経路が何カ所もあります。舗装道路になっていても、歩いていくと行き止まりという場所も多数。そこも全て見てきました。
山手線の線路の近くまで行くと、ほとんど明確な水路跡の痕跡が見いだせず、どこからどこまでがそれなのか良く分かりませんでした。
平行水路として §
農業用水の基本セオリー通り、2本の水路が平行して存在していたようですが、実際に歩くなら西側の方が面白いです。東側は普通の道路として整備されていますが、西側はいかにも水路跡/暗渠らしいムードがあります。横に高い崖が迫る場所もあります。
見所その1・謎の井戸? §
普通の手押し井戸ではありません。どういう意図で何を汲み上げているのでしょう? 近くに近所の人がいれば質問したかったのですが、あいにくと人影は見えず。
見所その2・謎のドア跡? §
下高井戸にもありますが、高い場所に白い扉跡らしい箇所が。
不明点 §
図録で「大名屋敷庭園からの流れ」とし記された支流(JR東京総合病院あたりからの流れ)については、現地で場所のあたりをつけることができませんでした。これは要検討です。
全般的な感想 §
DoCoMoタワー等の最新の大きなビルがよく見えます。しかし、道そのものはまさに暗渠/水路跡のムード満点。なかなかシュールな取り合わせが刺激的です。
終わって甲州街道に抜けると §
全て終わって甲州街道に抜けると、目の前に玉川上水の記念碑が。
いくらここが玉川上水の跡地だと言っても、あまりに間がよいので、思わず笑みが浮かびます。