2009年04月29日
トーノZEROゲームプレイ日記ACE COMBAT 6 解放への戦火total 3015 count

ACE COMBAT, イノセン・テイセス, HAWX……、フライト シューティングは行き詰まっているか?

Written By: トーノZERO連絡先

 Xbox360でTom Clancy's H.A.W.Xの体験版を飛び、「フライトシューティングの操作性の考察・なぜTom Clancy's H.A.W.Xとイノセン・テイセスは飛ばしにくいのか」のような文章を書いたわけですが。その過程で、問題の本質はフライト シューティングというジャンルが一種の袋小路に突っ込んで行き詰まっているのではないか、という懸念にあるのではないか、という気がしてきました。

 この懸念はACE COMBAT Xから感じ始め、ACE COMBAT 6でかなり確信的に感じられるようになった問題です。

定義 §

 フライト シューティングというジャンルを以下のように規定しましょう。

  • 実在、あるいはそれに類する航空機を、ある程度フライトシミュレータ的に飛行させ、実在の機体ではあり得ない多数の弾数によってシューティング ゲーム的にプレイするゲーム

 代表的な作品はACE COMBATシリーズであり、これはほぼ唯一に近い成功例です。Tom Clancy's H.A.W.Xもこのジャンルに入ります。イノセン・テイセスもこれに入ります。

何が行き詰まっているのか? §

 このジャンルは、飛ばし方、攻撃方法などが、フライトシミュレータ的という縛りがあるため、ある程度以上そこから逸脱ができません。そこから可能な戦闘やストーリー展開にも強い制約が生じます。従って、RPGや通常のシューティングと比較して、「違うゲーム」を作りにくいといえます。

 実際、ACE COMBATというシリーズは、2でほぼたいていの要素が出そろっており、この時点で既に完成形が見えています。そして、最大限の逸脱の上限は3で規定されたと言えます。あり得る最大の逸脱としての架空機も、トンネル通過のようなあり得ない飛行を要求するミッションも、全ては3が上限を規定したと言えます。

 それにも関わらず04が成立して成功した要因は、プラットフォームがPSからPS2に変化して全面的にゲーム内容がパワーアップしたためです。しかし、04ではPS2のパワーを完全に引き出してはいなかったため、更にスケールアップした5も成立します。

 しかし、ここで1つの限界に突き当たった感もあります。その次のZEROは基本的に2への原点回帰を指向したタイトルであり、ストレートなゲーム的な面白さが突き詰められています。ある意味で、ZEROこそはACE COMBATシリーズの再構築された基本形であり、ここがある意味での終着駅だったと言えるかもしれません。

 その結果として、その次のXは野心的な挑戦を行わねばならない状況になります。携帯ゲーム機(PSP)をプラットフォームとし、特殊なミッション条件が付加された難易度の高いミッションが多く、操作性の問題を含め爽快感が低下した感があります。

 そして、次もまた別プラットフォーム(Xbox360)に移行したACE COMBAT 6となります。これは、大軍対大軍をコンセプトにして、とても撃破しきれないほど多くの敵が出現するゲームとして成立しています。これもまた野心的な挑戦と言えます。しかし、全ての敵を倒してクリアするという分かりやすい手応えのあるプレイが遠ざけられてしまっています。

 その次に来るのがイノセン・テイセスです。プロペラ機を題材とし、Wiiのヌンチャクを操縦桿に見立てる操作感により、更なる野心的な挑戦がなされています。しかし、やはり操作性の問題からこれも不発に終わった感があります。

 そして最後に来るのがProject ACES作ではないTom Clancy's H.A.W.Xです。これもまた野心的な作品です。リミッターを解除して機動性が最大になるアシストOFFにすると、常に自機と選択した敵が画面内に見えるように、カメラの位置が自動的に調整されます。これで、正面にいない敵が画面から見えないため、直感的に状況が分かりにくいという問題が解決されます。しかし、カメラが移動し続けるために操作の基準が分かりにくいという操作性の問題が生じています。

つまり…… §

 X, 6, イノセン・テイセス, HAWXという一連の流れは、閉鎖的な行き詰まった状況を打破するために、遊びやすさを高め、野心的に新しい価値を創出していこうという意欲に満ちあふれているように見えます。しかし、その意欲は必ずしも上手く噛み合っているとは言えないように思います。

 もちろん、それはこれらのゲームが「面白くいない」という意味ではありません。それらは確かに面白いのです。しかし、飛ばしていてどこかに不自然なストレス感が残るのも事実です。どこか、開発者側に肩の力が入りすぎていたり、構えすぎているところがあるのかもしれません。しかし、リラックスして普通にゲームを作っても、旧作ACE COMBATの二番煎じにしかならない、というのもおそらくは事実でしょう。

いっそ新しいゲームは無くてもいいのか? §

 新作を作ることが困難である、という状況はゲーム製作会社としては困ることでしょう。しかし、1プレイヤーから見ると、実はそれほど困らないという側面もあります。1つのタイトルを徹底的にやり抜くには軽く数年の時間が必要です。しかも、やり尽くしたら終わるというわけでもないでしょう。飛ばし方を変えるだけで、違った側面がいくらでも発見できる可能性があります。

 それを考えると、いっそ新しいゲームは無くてもいいのか?という気がしないでもありません。

 しかし、それはそれとしてACE COMBAT 7を待ち望んでいるのも事実です。うん、それはもちろんそういうものです。

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