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2009年07月20日
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劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド・パール ギラティナと氷空の花束 シェイミ感想Part-2・他人を巻き込む価値の物語として

Written By: トーノZERO連絡先

 劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド・パール ギラティナと氷空の花束 シェイミの感想は既に書きましたが若干思うところがあるので追加します。

この映画の疑問 §

 TV放送された録画を見ながら感じた違和感がいくつかあります。

  • そもそも反転世界ってなに?
  • なぜロケット団が反転世界に取り残されるの?
  • なぜムゲンは1人で反転世界にいるの?
  • なぜ列車で見知らぬ人たちと交流するシーンのウェイトが大きいの?
  • なぜゼロの最初のメカは角度によって巨大な人型に見えるの?
  • なぜシェイミは姿が変るの? (汚れた姿から綺麗になることも含め)
  • いきなりサトシ達と遭遇したときには食事を盗み食いする等、シェイミの性格はなぜ悪いの?
  • 性格の悪いシェイミをなぜサトシ達は受け入れて一緒に旅をするの?
  • シェイミはなぜ浄化能力を持つの?

 更にもう1つ。あとから知った情報ですが、以下も違和感に追加できます。

  • オタクのアイドル的存在であり、ポケモン番組では重要な存在である中川翔子が、なぜ女の子的な魅力を発揮するヒロインや準ヒロインではなく、存在感の薄い悪の脇役的な「ゼロに仕えるメイド型人工知能インフィ」役なのか

物語の対立構造 §

 既に感想で触れた話ではありますが、この物語には決定的な対立構造があり、それぞれの極をシェイミとゼロが代表しています。

 つまり、シェイミが持つ属性は「他人を巻き込む」であり、ゼロが持つ属性は「他人を拒絶する」です。

 あるいは、シェイミの属性は「他人の世界に入り込む」であり、ゼロが持つ属性は「他人の侵入を許さない」と言っても良いでしょう。

 まさに対極です。

 とすれば違和感は全てこの対立構造を描くための手段として機能していると解釈できます。

そもそも反転世界ってなに? §

 ゼロが示す「他人の侵入を許さない」領域を分かりやすく視覚化して表現したもの。

なぜロケット団が反転世界に取り残されるの? §

 ロケット団が見ず知らずのムゲンに協力する描写が「他人を巻き込む」表現の1つだから。

なぜムゲンは1人で反転世界にいるの? §

 ムゲンは1人ですが、出会う人たちを誰も拒絶しません。それどころか積極的に受け入れます。この点がゼロとの決定的な違いです。それを示すために、ムゲンとゼロはどちらも1人きりの状態で登場しなければならなかった、とも言えます。

なぜ列車で見知らぬ人たちと交流するシーンのウェイトが大きいの? §

 列車に乗り込んだシェイミ達は、まさに乗客達の世界という「他人の世界に入り込む」存在であり、更にシェイミとゼロの関係に乗客達という「他人を巻き込む」ことになります。

なぜゼロの最初のメカは角度によって人型に見えるの? §

 他社の全てを拒絶するゼロは、まるで自分と世界が対等であるかのように錯覚しています。つまり肥大化した自我を持っています。巨大な人型に見えるメカとは、ゼロの肥大化した自我の象徴そのものでしょう。そして、それが墜落することは自我の崩壊そのものを意味します。

なぜシェイミは姿が変るの? (汚れた姿から綺麗になることも含め) §

 「他人を巻き込む」「他人の世界に入り込む」という行為は一方通行はありません。それによって、当人も影響を受けます。だから、他人の世界に入り込み、他人を巻き込むシェイミも不変ではいられないわけです。ゼロは自分自身が不変であり、世界も不変であるという幻想を持っていますが、シェイミは自分の変化を通じてそのような幻想を身をもって否定します。

いきなりサトシ達と遭遇したときには食事を盗み食いする等、シェイミの性格はなぜ悪いの? §

 それが「他人を巻き込む」「他人の世界に入り込む」ということの必然です。

性格の悪いシェイミをなぜサトシ達は受け入れて一緒に旅をするの? §

 他人を助けたり、他人に助けられたりしながら生きるのが人生というものです。助けを必要としている者がいれば助けるのはサトシ達から見れば当然の選択でしょう。しかし、それは「他人を巻き込む」「他人の世界に入り込む」行為があって初めて成立します。助けを拒絶する者に対して、助けに入ることは実際には困難です。

シェイミはなぜ浄化能力を持つの? §

 「他人を巻き込む」「他人の世界に入り込む」というシェイミの資質は人々(ポケモン含む)の間にある社会的な「壁」を取り払うことも意味します。それゆえに、シェイミがやって来ることで、人々は友愛や信頼をより大きく深めることができ、人間関係や社会的な関係も浄化されることになります。環境浄化能力はそのような資質を象徴的に示したものだと言えます。

オタクのアイドル的存在の中川翔子がなぜインフィ役なのか? §

 オタクにしか理解できない(かもしれない)符丁で話すアイドルは、実は「他人を拒絶する」「他人の侵入を許さない」という属性と一致します。つまり、ゼロというキャラクター性を表現する配役として優れています。

 あるいは、中川翔子が持つそのような側面は希有かつ貴重な資質であるために、彼女しかこの役ができなかった、という捉え方ができるかもしれません。彼女をオタクだけのアイドルと見なすのは誤りだろうと思いますが、オタクのアイドルとして振る舞える資質は誰でも持っているわけではありません。特に、アイドル声優のような「ただのオタクのアイドル」であっては、この映画が要求する水準の演技はできない可能性も考えられます。

補足・ギザみみピチューという問題 §

 中川翔子が使う「ギザ」という言葉は、ポケモンアニメ本編の世界には「ギザみみピチュー」というキャラクターと歌によって初めて入り込むことができています。つまり、「ギザ」という言葉単体では、ポケモンバラエティ番組の水準までしか到達できず、ポケモンアニメ本編に入るためにはそのための追加の仕掛けを必要としているわけです。ここに存在する「壁」の高さが、ある意味でゼロと世界の間にある壁の高さなのでしょう。たぶん。

感想まとめ §

 ゼロのように生きてしまう者達がネットの世界には珍しくない今、その対極の価値観としてシェイミを描く映画はやはり暖かく価値ある存在だと思います。うん、やはりこれも良い映画です。

余談 §

 実はゼロという名前にも引っかかっています。

 人物の名前としてはとても不自然です。(無限と0という対比のネーミングとしても)

 まさか「トーノZERO」という名前が元ネタ、なんてことはないでしょうね?

 閉じこもるのが嫌いな外出派の私がゼロの元ネタになることがあり得るか?と最初に思いましたが、ネット経由で見える「私」を考えてみるとあながちあり得ないことではないと気付きました。

 まず、「トーノZERO」が書いた文章はほとんどアニメとゲーム関係だけです。それは書き手の立場からすれば「それがアニメ、ゲーム関係専用のペンネームだから」という理由で必然なのですが、そのようなことを知らない読み手からは「アニメとゲームに没頭するだけの人物」に見える可能性があります。

 更に言えば、記事の横には引きこもり系オタク御用達のネットゲームの広告が大々的に出ていることが珍しくありません。こういう、「真面目に学校や会社に行くよりも家に引きこもってゲームに浸っている方が有利」なゲームは非常に良くない存在であり、積極的に否定したいと思っています。だから、そういうゲームの広告が出てしまうことは全く不本意であり、広告をきめ細かく制御できれば排除したいと思っているぐらいです。

 しかし、そのような舞台裏の事情は単に読むだけの人に分かるはずもありません、

 つまり、通りすがりの読者からは「引きこもってアニメとゲームとネットやってるだけの典型的オタク」に見えても何ら不思議ではないわけです。

 更に言えば、ポケモンのDP編に入って以後、うちのサイトはポケモンDP関係の検索で上位に来る可能性があって、実際にスタッフが私の感想を目にした可能性もゼロでは無いと思います。

 以上のような前提で考えたとき、ゼロという名前を決定するにあたって、たとえ僅かでも「トーノZERO」という名前が意識的、あるいは無意識的に影響を与えた可能性は無いとは言い切れないような気がするし、仮にそれが事実なら光栄なことだと思います。

 自分がゼロのような人物になってしまった可能性が無いとは言えないし、そのような人物に温かい手をさしのべてくれる人がいる、という映画を作ってくれたことはとても良いことだと思います。

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