2009年08月22日
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GREEN TOKYO ガンダムプロジェクト

Written By: 川俣 晶連絡先

 今日は、お台場の潮風公園でGREEN TOKYO ガンダムプロジェクトの実物大(?)ガンダムを見てきました。少し悩みましたが、これは「歴史資料館巡り」に分類して書きます。その理由は、これを大阪万博の太陽の塔に相当する歴史的なモニュメントと見なすことに決めたからです。

GREEN TOKYO ガンダムプロジェクト

 以下、いい加減に書き飛ばすので内容を信じてはいけません。また、疲れた果てた状態で書くので、内容も支離滅裂です。

造形物として §

 写真で見た時の印象と比較して、現物のできは少し落ちるような気がします。しかし、足の間を通過する際に間近に見える内部構造などは、それっぽくよく作られていると思いました。

 顔が動き、ミストを発射するギミックは、足の間を見る行列の中程で稼働したため、真正面のかなり近い位置(しかし近すぎない位置)から見られました。

 音楽の演出と光、ミスト、顔の動きだけですが、顔を使った演出は見事です。上を向いて遠くを示した後で目の前で見ている観客を見回すような動きを見せます。

 あたかもガンダムは巨大神であり、民衆の行き先を示し導くかのようなムードを上手く描いています。

 これは、人々を「オリンピック支持」へと導く誘導が人の力では難しいので、神様の力を借りたとも見なせます。

政治的なターニングポイントの象徴 §

 さて、このガンダムの特徴は、オリンピックという国策やナショナリズムに直結したイベントの象徴として持ち出された点です。

 これは、ガンダムがサブカルチャーの分野から国家文化に移動したことを意味するような気がします。

 このような移動は昔からあります。たとえば、歌舞伎は本来は反社会的な革新的芸術ですが、現在は国家に庇護される国家芸術の一種です。ガンダムも同じような形で、社会的な位置づけが移動していると考えられます。(ただし、オリンピック招致は基本的に東京都が行っていることであり、完全に国家的な存在とまでは言えないが)

 これは、本来アニメブームとは左翼活動家崩れがアニメ業界に入り込んで成立させたもの、という経緯からすれば大転換です。ガンダムという作品も国家の正義が茶番であることを痛烈に皮肉った作品という側面がありますが、当然実物大ガンダムのイベントにそのような側面は見えません。

 では、削り落とされなかったガンダムの要素は何か。

  • 巨大であること
  • 兵器であること
  • 圧倒的かつ画期的なハイテクメカであること

 つまり、このガンダムが暗に示すメッセージ性は以下のようなものでしょう。

  • 今は首しか動かないが、本気を出せば日本は本物のガンダムを作れる
  • 本物のガンダムを作ればあらゆる外敵に圧倒的に勝利できる
  • そして、どの国も頭を下げる必要はない
  • それどころか、どの国も日本の前には跪くだろう
  • 日本バンザイ!

 もちろん、そのようなイメージは錯覚でしかありません。

 まずガンダムは作れないし、仮に作っても巨大人型兵器は明らかに兵器として優れていません。戦えば負けます。ガンダムが強いのはアニメの世界の中だけの話です。そもそもハイテク大国の日本が本気を出せば、アメリカよりも優れた兵器を作れる、という話もかなり嘘くさいといえます。日本のロボット技術が優れている、という話もガンダムの強さには何ら直結しません。それ以前に日本が最先端のハイテク大国というのも過去の話でしかありません。

 しかし、このガンダムは本物が作れそうだ、本物を作ったら強そうだ、という誤った印象を見るものに与えるように作られていると思います。

 アニメと現実の倒錯です。

 もちろん、そのような倒錯は世の中に通用しません。いくら、「アニメの中でガンダムは最強なんだ!」と言っても、実際の戦争で相手が手加減してくれるわけがありません。

ガンダムは神か §

 さて、このような構造は何ら目新しくありません。戦前の状況と全く同じです。

 戦前では、2600年の歴史があるという神話が現実と倒錯されます。その結果、神国日本は必ず勝つとされ、戦争を始めたわけです。しかし、神話に存在する根拠が現実に機能するわけが無く、戦争には負けます。いくら「我々の神話の中では神国日本は最強なんだ! 神風が吹くんだ!」と言っても、連合軍が手加減してくれるわけがありません。

 要するに天皇=神の権威が失墜して使えなくなったので、その代わりにガンダムを祭り上げたという感じでしょう。

 それと同時に、民衆側にもガンダムを神として祭り上げてしまう行いを支持する心情があるのも、おそらく事実でしょう。

 この事態は、ガンダムを神に祭り上げる側だけでなく、ガンダムを見に来る者達も含めた共犯関係で進行しているような気がします。

 つまり、一種の世の中の右傾化であり、ガンダムはその象徴として祭り上げられていて、それは権力者の強制だけではなく民衆側の支持を含めて推移している、と見なせます。

 これは、太平洋戦争が民衆の支持を得て行われた(ファシズムによる民衆への強制ではなかった)という過去の経緯とも同じパターンです。

 もちろん、ガンダム様を神として祭り上げても戦争には勝てません。むしろ神頼みをすればするほど現実の勝利から遠ざかるだけでしょう。

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