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2009年11月05日
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オルランドの攻撃機が消えた日

Written By: 遠野秋彦連絡先

 祖国防衛戦争(オーバーキルウォー)の特に序盤において切り札として使われたのは、反物質弾頭ミサイルであった。なぜ反物質を使ったのかと言えば、理由は単純で、全質量がエネルギーに転換する効率の高さにあった。物質と接触させないように保持する仕掛けを含めても、小型の宇宙戦闘艇で運用できるほど軽くコンパクトであったのだ。もちろん何か事故があれば即座に周囲の全てが蒸発してしまう危険な代物であったが、オルランドはそれを使わねば序盤の劣勢を跳ね返せなかったのである。

 その状況の必然的な帰結として、反物質ミサイルの運用を専門とする攻撃機の開発が求められた。もちろん、単に攻撃機があれば良いという話にはならない。劣勢である以上、1機の攻撃機を何倍にも活用しなければならない。

 まず、それまでの戦闘艇が1発しか扱えなかったのに対して、2発搭載と同時発射可能であることが求められた。

 更に、反物質ミサイルのケースと加速ブースターを一体オプション化して容易に機体本体から切り離せるようにすることが求められた。戦場の近くまでオプションを運んでおけば容易に反復攻撃が可能という設計になった。

 これがアタッカーMark-Iとして採用された最初の攻撃機だ。

 そして、このシステムは大成功を収めた。大加速で敵艦隊に突入し、外しようがない至近距離から2発の反物質ミサイルを放つMark-Iは、まさに圧倒的に優勢な敵艦隊を切り崩す切り札となったのだ。

 しかし、問題が無かったわけではない。オプションのデポまで戻ってオプションを交換して再攻撃という手順を踏むと、最初は奇襲であってもその頃には敵が防衛体制を整えていて、なかなか有利な攻撃をさせてもらえない状況が起きたのだ。

 そこで、オプションの中に再攻撃用の反物質ミサイルも含めて搭載する改良が施された。同時に発射できるミサイル数は相変わらず2発だったのは、一度にそれ以上の数を撃つチャンスがまずなかったからに過ぎない。たいていの敵艦は1発でも沈み、2発撃つのは保険の意味が大きかったのだ。そして、この改良型オプションは、2回の再攻撃を可能とするために、6発の反物質ミサイルを搭載する能力が与えられていた。予備のミサイルは通常の発射位置の上下に収納され、発射時には上下方向にスライドして発射位置に移動するようになっていた。ブースターも強化され、これが切り札になることが期待された。

 ところが、状況は意外な方向に進んでいくことになる。ベーダーの反物質ミサイル対策が進み始め、それまで面白いように当たっていた反物質ミサイルが当たらなくなってきたのだ。そこで、確率的に命中を得るために、同時発射数を増やすという対策が求められた。

 同時に、各部隊に潤沢に供給されたアタッカーは、手頃なサイズであり、反物質ミサイル攻撃以外にも偵察、警戒、人員や物資輸送など、様々な用途に使われるようになってきた。しかし、反物質ミサイル攻撃にだけ特化した設計では機内が手狭になっていた。

 そこで、Mark-Iアタッカーの全てを2倍に増量するMark-IIアタッカーの開発が開始された。機体の厚みを2倍に増やし、接続できるオプションも1機から2機に増やした。

 そして、このMark-IIアタッカーは驚くほどの短時間で完成し、艦隊に配備されていった。何しろ基本設計はMark-Iの2倍であるから、開発期間は極めて短かった。

 かくして、オルランドは同時発射数4発、搭載総ミサイル数12発というモンスター攻撃機を手に入れたのである。

 しかし、やはり状況はそこで立ち止まることを許さなかった。

 ベーダーとの熾烈な戦いを勝ち抜くにはそれでも弾数が不足しており、同時発射数8発、搭載総ミサイル数16発の攻撃機が必要という試算が出された。

 また、強引な増築を繰り返したMark-IIの構造上の問題も出ていた。オプションを外付けしたり、オプション自身も追加ミサイルを収納するスペースを膨らませたり、気体や液体の中では抵抗が大きすぎたのだ。

 以上のことから、Mark-IからMark-IIまでの設計を全て放棄し、最初からセットで設計された新しい流麗な攻撃機が誕生した。これがMark-IIIである。

 Mark-IIIでもオプションという概念は継承されており、反物質ミサイル8発を搭載するユニット2つを接続可能としていた。2つに分けているのは、問題が発生したオプションを切り離して投棄しても、残ったオプションがあれば攻撃続行可能という配慮である。

 そして、このMark-IIIが最後のオルランドの攻撃機になると誰も予想をしていなかった。反物質ミサイルがオルランドの切り札としての力をまだ失っていない以上、それを撃ち込む攻撃機のニーズが消えることはあり得ないと誰もが思っていたのだ。

 そして、実際に改良プランはMark-IIIが配備される前からいくつも検討されていたし、Mark-IIIの活躍が軌道に乗り始めた頃には、改良型のMark-IVという計画がスタートしている。

 このMark-IV計画は、厳密には攻撃機本体の改善ではなく、オプションの改善という位置づけであった。順調に量産される攻撃機に比して、母艦となる2Kクラスの数は十分ではなく、攻撃機を展開したい場所に送り届けられない事態が起きていたのだ。そこで、オプションと一体となった超光速航行エンジンを装備させ、Mark-IIIの航続力を飛躍的に高めようというコンセプトであった。

 航続力が上がるということは、ミサイルの補給にいちいち戻ることが非現実的であることも示す。そのため、搭載ミサイル数も16発から32発に増量された。同時発射数は8発のままだが、斉射可能回数が2回から4回に増えたわけである。

 同時に、エンジン部には荷電粒子砲が装備されることになった。これは、反物質ミサイルでは破壊力が過剰すぎる敵を排除するために要請されたものだった。母艦の支援をあてにせずに遠く離れて行動するとは、そういう装備を必要とすることでもあった。

 結果として、Mark-IIIの本体3倍もの長さを持つ新オプションが完成したが、もはやオプションではなくそれこそが本体であるかのように見えるほどだった。

 そして、これこそがオルランド攻撃機の究極完成形として歴史に名を残すはずであった。

 だが、そこで極めて実務的な官僚が横やりを入れた。

 なし崩し的に星間戦争になだれ込んだオルランド、あるいは連合防衛軍は多くの点でなし崩し的ないい加減な規約を持っていた。

 その1つが、用語としての機と艦の使い分けであった。当初、宇宙戦艦と宇宙戦闘機が出現した際、適切な用語を作っている余裕がないという理由で、機や艦という用語を使い始めた。そして、運用しながら超光速航行できるものが艦、できないものつまり母艦から遠く離れられないものが機という分類が明文化された。

 そして、Mark-IVは超光速航行が可能になったために、もはや機ではなく、攻撃機とは呼べないと宣告されたのである。

 結局、艦の命名規則に従い、この機体は100Mクラスの駆逐艦(デストロイヤー)と呼ばれることになり、機体を開発する部門ではなく、艦船を統括する部門が扱うことになった。

 更に悪いことに、100Mクラスはまさに艦隊にとってかゆいところに手が届く便利なアイテムになっていたのである。

 生産ラインの効率化のために、早々にMark-IIIの生産は中止となり、全面的に100Mクラスの製造が行われることになった。既に完成していたMark-IIIの本体は全て100Mクラスのヘッドブロックとして役目を変更されていった。

 そして、細々と使われていた旧型のMark-IやMark-IIが全て退役した時点で、オルランドに攻撃機というジャンルの機体は全く残存しない状況に陥ったのである。

 実際には、100MクラスのヘッドブロックはMark-IIIアタッカーの本体そのものであるが、極めてつまらない官僚的な理由により、攻撃機と呼ばれる機体は消えてしまったのである。

(遠野秋彦・作 ©2009 TOHNO, Akihiko)

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