なんて間抜けなことにやっと気付きました。
1969年の空飛ぶゆうれい船は、以下の特徴を持ちます。
- 本来水上にあるべき船が空を飛ぶ
- クラシックな外見だが中身はハイテク
- 近代兵器での戦闘が見せ場
- (体当たりが最後の武器だ)
この特徴は全て宇宙戦艦ヤマトに当てはまります。
1974年のヤマトよりも以前です。
しかも、原作は石ノ森さんで、あの有名なゴーレムのシーンを作画したのが宮崎駿さんと言われます。
つまりだ §
ヤマトは亜流がほとんど無く、せいぜい同じスタッフを含むハーロックやブルーノアがあるぐらいである、という解釈は間違いです。
つまり、石ノ森さんや宮崎さんの立場から言えば、そういうアニメは既にやった古いネタということでしょう。ヤマトがブームになったからといって、今更手がける対象ではなかったのでしょう。
空飛ぶ帆船はワンピースの独創ではないが §
空飛ぶ帆船は空飛ぶゆうれい船から登場しており、石ノ森さんの立場からして宇宙からのメッセージでいきなり出てきたビジュアルという感じでも無いようです。(詳しいことは石ノ森ファンに任せた!)
そこではたと思うのは、帆船が空を飛ぶワンピースとの関係です。ワンピースではコーラ樽を燃料に帆船が飛びますが、そこではたと気付いたことがあります。
「ボアジュース」といえば空飛ぶゆうれい船です。
つまり、俗説も含めて身体(の一部)が溶けそうな清涼飲料水が重要なモチーフとして使われているという点で、ワンピースのサウザンドサニー号との関連性を意識させます。
何、僕は若いワンピースファンだから、ボアジュースなんか飲んだことない? おいらも飲んだことないよ! (作中の架空のジュースだからな)
というわけで §
ヤマトの話が石ノ森、宮崎につなってしまったぞ!
しかも、宮崎さんの意識の上では実は「空飛ぶゆうれい船」のゴーレムのシーンの再来となる「さらば愛しきルパンよ」を作った関係上、もはや2回もやって終わった話になっているのでしょう。だから、宮崎ヤマトがあり得ないのと同程度に、「空飛ぶゆうれい船」のリメイクも実質的に既に終わった話になっているわけです。
というわけで、ヤマトの遠い原点として名前が出る新戦艦高千穂からヤマトに至るヤマトスタッフではない「他人の系譜」上に宮崎駿さんもしっかり位置づけられてしまいます。
他に新戦艦大和という話がなきにしもあらず、という感じのようですが。
やはり、船が空を飛ぶという発想は、ある時代には典型的にあったのだろうという気がします。実際に、飛行船や空港など、「船」や「港」といった海洋用語を航空に適用している例は多くあります。一般人が乗れるものではない時代なら、尚更飛行機を船になぞらえて理解するのかも知れません。現在のように貧乏サラリーマンが出張で乗るのが飛行機で、金持ちがクルーズを楽しむのが船……といった区分になってしまう前の話ですね。
個人的には §
実は生まれて初めて見た映画が80日間世界一周(洋画、実写)で、劇場内に入ったら飛行船が立ちふさがる岩を砲撃で破壊するシーンだったような気がします。もう記憶が曖昧です。
しかし、何が何やら本人は分からず。
本人が分かって見た最初の映画は、海底3万マイルでその次が空飛ぶゆうれい船。(いや幼稚園児だから本当に分かっていたのかは疑問だが)
とすれば、船が空を飛ぶ映画に影響されるのは当然。海底3万マイルも、実はみんなで乗っている潜行艇が浮上して飛んでいく展開があったと記憶しますが、船がバシバシでてくる海洋ものであるという点を差し引いてもやはり類似性があります。しかも、ゆうれい船から近代的なミサイルが出てきてゴーレムを撃ったりした日にはもう幼少の判断力のない子供は釘付けですね。クラシックな46センチ砲かと思いきや、いきなりビームを撃つ光景みたいなものです。
かくして、ヤマトファンへの道は開かれたのであったが、意外にも松本系よりも石ノ森系作品(しかも宮崎駿さん付き)であったという意外な解釈でありました。(海底3万マイルも石ノ森系作品だしね。ただし2万とか5万と間違えるなよ!)