1つだけ追加で書くなら。
「オレ、マサラタウンのサトシです」という挨拶は「オレ」というあたりが子供っぽいものの、最低限の礼儀は果たしていると言えます。いやむしろ、子供としてはかなり上等の礼儀を初対面の他人に示していると言えます。
その後でピカチュウを紹介したり、「ヒカリです」とヒカリが自己紹介したりすることも良くあります。
ロケット団に至っては、「名乗り」こそが見せ場です。
さて。
挨拶される側から考えてみましょう。
「マサラタウンのサトシです」と挨拶されたとしても、まず言っていることが本当であるか分かりません。目の前の少年が本当にマサラタウンから来たのか、サトシという名前かも分かりません。言うだけでは単なる自己主張に過ぎないからです。
また、本当にマサラタウンから来たサトシという子供だとしても、それが信用できる人物であるかは分かりません。
また、あまり興味がなければ、名前すら覚えられないかもしれません。
しかし、意味がないわけではありません。
少なくとも、誠意を持って見ず知らずの他人と相対して、コミュニケーションし、相手を尊重しようという意識は見て取れます。
とすれば、「なんだか分からないガキが吠えている。忙しいからあっちいけ」というリアクションは、かなりの確率で回避できます。
そういう意味で、サトシは子供としては上手くやりすぎているという印象も多少ありますが、逆に子供達の手本と思えば子供とはかくあるべきでしょう。
……という前提から考えれば、ポケモンに関してしばしば来るメッセージが名無しで挨拶もないことは、サトシを手本とするという意欲も見られないことになります。本当にポケモンを見ているなら、せめてサトシから学んで「オレ、マサラタウンのサトシです」に相当する名乗りぐらいは入れても良いのでは?
なに? オレは大人だから上から目線でサトシをバカにしている? とんでもない。名乗れもしない「君たち」はサトシとは比較にならないぐらい子供だよ! 実年齢がどれほと高くても、心はまだまだ未成熟というものだ。
余談 §
以前に、サトシは父を目指し、母としての役割を持つタケシと、子としての役割を持つポケモン達という構図を書きましたが、この構造こそが子供の勝手な思いこみの発露によるもので、サトシの成長によって破綻します。ヒカリとシンジの登場後、サトシは自己を自覚し、サトシとヒカリは未自覚なカップルに進み、タケシは「人生の先輩」というポジションに変わっていきます。「おままごと」の関係を卒業したと言うことでしょう。ところが、サトシとヒカリのカップルは無自覚であるだけ、カップルらしいカップルに進みません。サトシはポケモンを抱擁する母性を示し、ヒカリは勝利への闘志を見せる男性性を見せ始めます。従って、2人の相性はバッチリであり、しばらく止まりそうにありませんが、2人が関係性を自覚した瞬間に未来の選択肢の決断を迫られます。父親不在のヒカリのママは「永遠のヒロイン」でも構いませんが、もしサトシをパートナーに生きるなら永遠にヒロインではいられないかもしれません。あるいは「守られている私」を自覚してしまうと、もうサトシと一緒に旅はできなくなるかもしれません。サトシもポケモンマスターになるという夢の先が見えてきています。とすれば、ポケモンマスターをゴールとして引退するか、それとも先に進むのかを選ばねばなりません。ははは、まさに「ワクワク冒険止まらない」ですな。
あ、そうか §
つまり、ポケモン新作に向けてDPの世界の決着方法が見えてきたということなのか! シンジとの決戦後、しばらく当たり障りのないエピソードが続いていたのは、それが未確定だったからではないか!? それが確定したので、急にドラマが堰を切ったように動き始めた、ということではないのか? タイミング的に『ポケットモンスター』シリーズ完全新作 2010年内発売に向けて開発中！というニュースと同期するし。とすれば2010年内にアニメのDPは終了して、新シリーズ開始。通例で言えばヒロイン交代なので、ヒカリは仲良しのママにならって1人で生きていく道を選んで離脱。新シリーズで新ヒロイン加入なのかな? サトシは実質的に初めての失恋に挫折するかもしれないが、それもまた人生だ! 男っぽい闘志を燃やすヒカリという描写も、離脱の布石かもしれません。ヒカリにふられてやけジュース(酒はまだ早い)を飲むサトシの愚痴を「はいはい」と言いながら聞いてあげるカスミかハルカというシーンも、それはそれで見てみたい気もするぞ。いや、そういう愚痴が聞けるのは、むしろ付き合いは長いが男女関係であまり深入りのないハルカかも。
まあ、全ては憶測だけどね! 本気で読むなよ!
