「おほん。ちと昔話でもしようかのう」
「はいはい」
「昔々の話で、もううろ覚えだから厳密には間違っている可能性の方が大きいと思って聞いてほしいのだが」
「うん。10割差し引いて聞くよ」
「MGのスーパーガ○ダムを買った時じゃったかのう。説明を読むと、こう書いてあったのじゃ。ガ○ダムMk2の性能が足りなくなったがエ○ーゴは金がないからGデ○フェンサーを開発したと。ガ○ダムMk2+Gデ○フェンサーがスーパーガ○ダムということじゃ」
「なにそれ?」
「そうじゃ、これはちょっと……と思う説明じゃのう」
「敵からかっぱらった極小数の機体をパワーアップする新機体を開発する金があったら、最新鋭の量産機体を揃えた方が安上がりになるはずだ。開発するコストはでかいし、整備運用も含めれば、おそらくその方が安い。部品も簡単に融通できるしね」
「そうじゃ。元々量産する予定の機体を強化するパワーアップパーツならまだしも可能性としてはありえるがな」
「量産してコストを抑えられるからね」
「あるいは量産機を1機だけラインから抜いてカスタム仕様に、という話なら分からなくもない」
「うん。ちょっと手を加えるだけで延命できるなら、無理な発想じゃない。
「鉄道の世界でも、アコモデーション改良といって内装などに手を加えて旧型車を延命させることがある」
「でも、全く新規に別機体を作るという話は無理がありすぎるよ」
「ゼロから作るとなると、手間も馬鹿にならないからのう」
「そんな手間があったら、同じ規格で揃えた方がいい」
「規格にあわないものは運用から外した方がいいね。性能不足に陥る前に、性能が十分であっても外す方がいい。金がないならなおさらその方がいい」
「鉄道だって、同じ形式で車両を揃えるしね」
「軍用機もな。次期主力戦闘機の候補が複数あっても、それは最終的に1つに絞り込むことが前提だ」
「ハイローミックスという考え方もあるようだけど」
「あれも金がないから出てきた思想じゃな。本当はイーグルで揃えたいが、金が足りないのでファルコンも入れて数を揃えると。つまりベストではない。次善の策じゃ」
「それで、なぜそういう話をするの?」
「コスモパルサーじゃ」
「え?」
「ヤマト復活編の重攻撃機とは翼を折りたたんだコスモパルサーそのものじゃ。他にも設定を含めてバリエーション機体は多いのじゃ」
「それってどういう意味?」
「整備中に簡単に部品を融通できるということじゃ」
「そういえば、ヤマト世界は昔からバリエーション機が多いね」
「最初のシリーズではコスモゼロとブラックタイガーの2系統だが、さらばになるとコスモタイガーだけじゃ。バリエーションとして単座と三座があるだけじゃ」
「2になると基本はコスモタイガーの雷撃機型が空母艦載機として出てくるわけだ」
「でも、搭載機を混在させることは抑止されている。雷撃機はヤマトには乗っていない」
「同じ系統でも整備の問題があるから、分けた方が良いのは当然だ」
「逆に敵はあまり意味無く複数の機体を出してくる」
「実際に、ソ連でもさほど差がない複数の種類の機体を量産運用していた経緯があるが、崩壊してしまった以上上手く行ったとは思えないのう」
「これってどういうことだろう?」
「ヤマトの方がずっと解釈が大人ということじゃろう」
「つまり、グレンダイザーがピンチだからと言っていちいち新しいスペイザーが出てくるような展開は……」
「ヤマト世界ではありえない状況じゃろう」
「古代が助けに行くとなぜか娘だけ生きている状況があっても……」
「そうじゃ、そういうご都合主義があっても、ピンチに陥るごとに凄い支援メカが続々出て来てヤマトに合体する展開はあり得ないのじゃろう」
「ってか、スペイザーって時点で話が分かりにくいよ」
「なんていうか、錯覚だけどさ。グレンダイザーには乗れなくても、スペイザーのどれかには乗れそうな気がしたじゃないか」
「そんなもんかね?」
「ヤマトでもさ。弁当を主砲に運ぶ仕事ぐらいはできそうな気がするじゃない。錯覚だけど」
「うん、錯覚だ。そもそも優秀じゃないとヤマトには乗れない狭き門だ」
「やはり錯覚だよね」
「でも何となく弁当運んだついでに、坂巻キャップがショックカノンぐらい撃たせてくれそうな気がするじゃないか」
「波動砲は無理でもね」
「ヤマト第1シリーズでも、あまりに子供っぽい古代を見ているとオレだってヤマトに乗れそうな気がするし、ヤマト2の新米を見ているとオレの方がマシじゃないかと思えるし」
「それも錯覚だけどね」
「でも錯覚という視聴者の居場所をちゃんと作ってくれているよ」
シームレス戦闘機も §
「余談だけどさ。シームレス戦闘機も、実は基本設計があって、そこから真田さんが小修正してつなぎ目を消して急遽作ったという気がするね」
「つまり、どういうこと?」
「あれは、事前に予測できるようなものではない以上、コツコツと作っておくことはできない。短時間にすぐ出来ているということは、既存の設計図を修正したものだろうと思う」
「なるほど」
「いちおう、新規に作ったみたいなので、既存機体の改造という線は捨てているのだが、おそらく設計図の大半は流用なんだろう」
「つまり、真田さんが突貫作業で設計図を直して」
「そのまま万能工作機械に突っ込んで作らせたものじゃないかな」
「そうか。そう考えれば、それほど突飛ではないかもね」