以前、松本ヤマトのイメージソースは大和よりも富嶽ではないかということを書いたことがありますが。
WikiPediaの以下のような文章を見てはたと気付きました。
劇中の冥王星海戦は、海戦というより航空戦に近い描写であり、彼我の艦艇もまた水上艦というより航空機に近い描写がされていた。
そうか。
「超弩級戦艦6、巡洋艦8、護衛艦多数高速接近中」というのは、本当なら「超空の要塞6、空の要塞8、護衛戦闘機多数高速接近中」というイメージなのか!
更に、ずんぐりむっくりの沖田艦は一式陸攻のイメージ。一撃でピンチに陥るのはまさにワンショットライター。護衛の古代守艦は零戦のイメージ。護衛任務で飛んでいても敵が来ると敵を倒すために護衛対象を放り出して飛んでいってしまうのも、日本戦闘機らしい展開。だから、護衛隊長のくせに、「沖田さんのフネだ。ひどくやられてる」と他人のようなことまで言えるわけです。
とすれば、「奴らにはこのフネでは勝てない」というのは、実はワンショットライターの一式陸攻では勝てないという意味であって、地球製兵器では勝てないという意味ではないのかも。実際、古代艦が敵を仕留めているわけだし。
更に、戦闘機でしかないブラックタイガーが沖田艦でも沈められなかったガミラス艦を簡単に沈めてまわれるのも当たり前。ガミラス艦は実際には敵爆撃機に相当するわけで、戦闘機の機銃一連射で落ちてくれます。戦艦を戦闘機の機銃で沈めるのはまず無理ですが、爆撃機なら落とせます。
更に言えば、ヤマトのショックカノンで数隻があっさり爆発するのも良く分かります。つまり、敵爆撃編隊に3式弾を撃ち込んだ大和の感覚ということですね。
オマケ §
「というわけで、連合艦隊ついに勝つ。もとい、ついに来たヤマト航空機説波高し」
「意味分からないよ」
「そうだ。ヤマトは意味が分からないんだ」
「え?」
「ある意味、ヤマトは大和の常識、海戦の常識、海軍の常識、あるいは海の常識が通用しないんだ。ブラックタイガーの機銃で沈んでしまうガミラス艦とかね」
「なるほど。まあ小艦艇なら機銃で沈まないとも言えないけど、ある程度の艦はもっと打撃力のある急降下爆撃機や雷撃機が欲しいところだね」
「でも、爆撃機のイメージなら戦闘機の一連射で落ちる場合もある。空の常識を持ってきて始めて筋の通る解釈ができるという認識は実は重要だ」
「ある意味で、これが始まりの一歩だね。分かりにくい問題を解き明かすための」
「うん。大和というれっきとしたフネをモデルにしながらむしろ飛行機の感覚だというのは屈折していて分かりにくい」
「でも、そうだ大和にしようと言ったのは松本先生らしいぞ」
「うん。しかしそこで、大和を改造して航空機時空に引きずり込むのだ、と思うか、フネのまま宇宙の海へ航海するのかで、だいぶイメージが変わってくる」
「そうだね」
「更に屈折しているのは、実際のヤマトには両方のイメージがあることだ」
「飛んでいくけど、イスカンダルでは着水しちゃうしね」
「ある意味で、これこそがヤマト研究の最重要な要素だと思うな」
「最重要か」
「うん、極めて重要だ。これが決定的なターニングポイントだと感じる」
「そこまで言うのか」
「うん。ここが折り返し地点だと思う。ここからがヤマト後半戦だ。捕らえどころの無かったヤマトを捕獲できる可能性が出てきた。そして完全捕獲に成功したら、ヤマト趣味は終わるかもしれない。もちろん一般論の話ではないよ。私の個人的な納得の話だ」
「でも原稿のストックはあと一ヶ月分ぐらいある」
「その間はまだ終わらないということだ」