「こんなニュースがあるぞ」
「ふーん」
「君がiPhoneをまたいで通った理由は、プログラミング言語選択の自由がないことだったね。ならばこれで障害が取り除かれたわけだから、喜んで買うかい?」
「いや、別に」
「冷めてるね」
「モバイル開発は今やってないからね」
「でも、今更アドエスのストラップを買い直したりしてるじゃないか」
「クリップが壊れたから買い直しただけ」
「でも、流行ものだろ?」
「流行はどうもピークを越えて縮小に転じたような印象も受ける」
「どうして?」
「持っていると吹聴する人はネットに多いが、身近で直接知っている人でユーザーになったという人はほとんどいないし、増えそうな感じもない。現物は電車でたまにそれっぽいデバイスを操作している人を見る程度だ。ただ本当にiPhoneかは分からない」
「でも、流行ものは好きなんだろう?」
「どうも虚像の流行くさいのだ。マスコミは煽っているから、ブームがあるかのように見えるが、実際に動いている人数はそれほど多くない感じだ」
「じゃあ、Androidの勝ちってこと?」
「必ずしもそうじゃない」
「でも、この記事にこう書いてあるじゃないか」
Apple の iOS と競合する Google の Android モバイル OS が市場シェアを急速に伸ばしている最近の傾向を考えると,今回の変更は開発者が Android と同じように,iPhone のアプリケーション開発も確実に続けてくれるようにするための,先を見据えた動きなのかも知れない。
「だからさ。既に携帯の高機能化は行きすぎていて、ユーザーから分厚いマニュアルは揶揄される対象だったんだよ。ずっと前からね」
「うん」
「そこで、より高機能を狙った携帯が出てきて飛びつくかというと、やはり多数派層は飛びつかないのじゃないかな」
「君はどうなんだい?」
「スケジュールとメモとデジカメと地図を持ち歩けたら便利だと思うが、それ以上の機能は必要としていない」
「携帯というよりPDAだね」
「理屈の上では、モバイル・プログラミングという方法論もあり得るが、そこは積極的にやってない。あまり長い移動時間はないからね」
「一応、わんべぇはあるんだっけ?」
「昔なつかしいW-ZERO3用にね。iPhone版Android版は作ってないよ」
「その路線は進めないの?」
「進めるという構想はあるが、あくまで目指す場所はみんなが持っている携帯であって、特定のメーカーや機種ではないよ」
「じゃあ、結局君としてはどうなんだ?」
「この記事を最後まで読んだかい?」
「いや」
「こんな文章もあるぞ」
2.12 特別な有用性のない,あるいは継続的なエンターティメントとしての価値を提供しないアプリは,登録を拒否されることがある。
「これがどうしたの? ゴミばっかりで探すの大変という状況が変わるのならいいのでは?」
「では、有用性の有無は誰が判定するんだい? エンターテイメントとしての価値は誰が判定するんだい?」
「お客様……ではないよね、たぶん」
「お客様が、こんなの要らないよと言って捨てるならある意味でやむを得ないのだが、お客様がそれを判定する前に捨てられる可能性があるってことだ。とすれば、どれほど金を掛けても無駄に終わる可能性がある。リスクが高いってことだ。客の反応を見ながら育てることも難しいかもしれないな」
「でもさ。金をかけて真面目に作ったソフトがそう簡単に却下されるかな? いくら何でもそれは非常識じゃないか?」
「今まで開発言語を制限するという非常識をやってきて、不満がぶーぶー渦巻いてやっと緩和したような会社だぞ。非常識な対応が無いと言い切れるかね?」
「じゃあ、iPhone開発はやらないの?」
「そうは言ってない。既にあるソフトに対して、お客様がいてiPhone版が欲しいという人の数が採算ラインに乗っていれば書くと思うぞ。あるいは誰かがその予算を引き受けるかだね」
「あくまで、自分でリスクを取ってまでは書かないということだね」
「そう決断させるほどの魅力は感じられないデバイスだってことだ」
「それは偏見じゃないか?」
「身近に使ってるユーザーがほとんどいない状態で、どう魅力を感じろっていうんだ?」
「やはり問題はそこか」