2011年03月07日
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「しゅばばばばーん」と宇宙戦艦ヤマト

Written By: トーノZERO連絡先

「あるとき、うっかり『しゅばばばばーん』と叫んで思い出した」

「なに?」

「昔ね、声優が出演するボイスラッガーという戦隊ものの深夜ドラマがあったのだ」

「声優が出るアニメは当たり前じゃないの? 宮崎アニメだと違うかも知れないけど」

「いやいや。実写」

「えーっ? 声優で実写の演技?」

「別に驚くことは無い。俳優としての技能を持った声優など珍しくも無い。というか演技の基本だ」

「それで?」

「ただのイロモノかと思いきや、けっこう面白かった」

「へえ」

「でも、それが理解されているとは言いがたい」

「戦隊だろ?」

「だからだよ。しかも、この話はヤマトにも構造的に連動すると分かった」

「えっ?」

ボイスラッガーの特徴 §

「広義の戦隊ものフォーマットというのは、基本的に規定の人数が揃うことで必殺技や合体が発動する」

「コン・バトラーVとかも含まれるわけだね」

「うん」

「でも、それは当たり前じゃ無いの?」

「そうでもない。あとからビッグワンが出てきて1人で倒すというパターンもある」

「なんと」

「最近の戦隊では、全員揃わないで倒すというパターンもあるのは、パターンにはまって緊張感が無くなることを回避する工夫だろうな」

「えっ?」

「だからさ。この『広義の戦隊ものフォーマット』は、どうしても、全員集合がポイントになるがゆえにそこに焦点を絞った話になりやすい」

「4人で戦うゴレンジャーにキレンジャーが助けに来ると急に勝てるようになる、という感じだね」

「昔のガッチャマンでも全員揃わないとバードミサイルが撃てない制限があったが、実は集まった後でケンとジョーが言い争ったり南部博士の許可を取ったりドラマがあったが、安易な作品はそういう見せ場も無く、全員揃うとなぜか強くなって勝ってしまう」

「あるある。そういう話ってあるよな」

「そういう話の問題点は実は必殺技に人数が必要であるという点よりも、集団の完全性に依存する心の弱さもある」

「1人では戦えない弱さってことだね」

「そういう意味で、ボイスラッガーが良かったのは、1人1人の戦う心の強さが問題にされるストーリーだったからだ」

「そうか。でも、それがヤマトとどう関係するの?」

「だからさ。ヤマトも同じなんだよ」

「えっ?」

「全員揃わないと波動砲が撃てない、という設定は存在しない。雪も代役のサーシャも乗っていない状態で撃ててしまう。撃つために人数は必要だが、固定メンバーが全員集合する必要は無い。だから心の問題は、あくまで個人の意志の問題に還元される」

「そうか。だから人数が揃っているか否かに関係無く、相原は宇宙に飛び出してしまうわけだね」

「島がいなくてもヤマトは出航できるしね」

「古代には荷が重いだけってことだね」

つまりここだ §

「だからさ、おいらの趣味はここにあるってことだ」

「どこ?」

「全員集合して徒党を組めば強い、という思想への不信感だ」

「へ?」

「人と人とが協力すればより以上の力を発揮できることは言うまでもない」

「三人寄れば文殊の知恵だね」

「でもさ。5人揃ったら急に強くなるとか、そういうのは嘘くさい」

「どう嘘くさいの?」

「身内だけで固まって人数を増やしても、発想が似通っているし緊張感が無い」

「なるほど。違う人間が集まるから三人寄れば文殊の知恵になるわけで、同じような考え方の人間が集まってもダメってことだね」

「だからさ。ヤマトはクルーの増減が多少あっても大差ない。全員集合には何の意味も無い。でも、みんなが集まって力を出し合うことには大きな意味がある」

「そこがヤマトのいいところというわけだね」

「そうだ。間違った個人主義は否定されるが、かといって間違った集団主義も否定される」

「でも、アニメ特撮の世界は間違った個人主義と間違った集団主義で一杯だぞ」

「だからヤマトは貴重なんじゃないか」

オマケ §

「こいう文章を書いた直後に、非常に印象的なものを見てしまった」

「なに?」

「2011/03/06の海賊戦隊ゴーカイジャーは、仲間とは何かという最も根源的な問題が取り上げられた」

「自明じゃないの?」

「そうじゃない」

「結局、1対1の勝負にこだわったブルーが剣を仲間に借りて5刀流で等身大の敵に勝つという話であった。巨大化した敵はみんなで倒したけどね」

「ほほう。でも、他の4人が出ないとみんな納得しないだろ?」

「4人は雑魚を引き受けて、1対1で戦えるようにしたんだ」

「なるほど。全員集合するだけが仲間じゃ無いってことだね」

「だから、いつも5人で1体を袋だたきにする戦隊という卑怯さへの批判に対応する中身となっているのだ」

「へえ」

「だからまあ、バルゼーと土方が1対1で対決できるように、ヤマトが空母部隊を率いて邪魔な雑魚を殲滅したようなものだな」

「なるほど」

「結局、チームものというのは人数が揃うだけでいいと考えた時点で緊張感が無くなる。仲間とは人数を揃えるものではない。異質なる他者と協同することで新しい価値を創出しなければ意味が無い。そういう意味で、ヤマトはいい。古代と島は殴り合って理解しなければならない。でも同じヤマトに乗り合わせているからヤマトは強い。同じような意味で、ゴセイジャーもそれを描こうとした。3つの族を設定し、同じ族でも更に同じ感性を共有できないことを描こうとした。しかし、ゴーカイジャーになるともう5人が全てバラバラだ。ものの考え方の感性からして全てが違ってくる。しかし、チームであるわけだ」

「でも、それはヤマトでは最初から当たり前だった、ということだね」

「そうだ。実際、沖田と古代では発想は近いが年齢が違うという形で認識のギャップがやはり描かれていたわけだ」

「全員バラバラ」

「でも仲間なのだ」

「そうか」

「実際、ゴーカイジャーでやっていることは、別に目新しくは無い。しかし、本来あるべきでありながら、なかなか上手く描けていなかったことなのだ」

「では、どう問えば良かったわけだ?」

「どうするどうする君ならどうする」

「で? 答えは?」

「任せるんだ俺たちに」

「君に任せればいい脚本を書いてくれるというわけだね」

「いや、俺たちってデンジマンだ」

「デンジマン見てたって自慢かね。(デン)ジマンだけに」

「サンバルカンの方が好きだったけどな」

オマケ2 §

「だから、ダイナマンの第1話を見た時点で『期待する意味は無い』と自覚してもう戦隊を見なくなったおいらも納得する世界に戦隊が戻ってきたわけだ。こんなにめでたいことは無い」

「似たような背格好や、似たような価値観の仲間を集めても意味は無いってことだね」

「そうではなく、全く違った者達が協力するから価値があるのだ」

「そうか」

「だからイナズマジャパンにはでっかい壁山が必要だし、ヤマトにはちっこい佐渡先生が必要なんだ」

「全員が同じである必要なんて無いということだね」

「全員が同じような戦闘要員である必要は無い」

オマケIII §

「どうでもいい話だが、追加する」

「なに?」

「海のトリトンに対抗する企画を考えた」

「何?」

「豚の忍豚(にんとん)」

「ただのダジャレかよ」

「更にどうでもいい話を追加するぞ」

「なんだ?」

「アリエッティが面白いのも『似たような背格好』じゃない全く背丈の違う人間が協力して、お手伝いさんを出し抜くストーリーだからだ」

「ははは」

「昔のコロボックルシリーズもドリトル先生も、やはり同じ特徴を共有する」

「なるほど」

オマケよ永遠に §

「だからイナズマジャパンにはでっかい壁山が必要だし、ヤマトにはちっこい佐渡先生が必要なんだ」

「だからヤマトにはでっかいヤマトと小さい人間が必要ってことだね」

「波動砲で活路を開くこともあれば、人間が潜入して活路を開くこともある」

「どちらもあった方がうまく切り抜けられるということだね」

「実際、永遠にのラストは人間がドアをあけてヤマトが波動砲を撃つという複合技になっている」

オマケ2again §

「だからヤマトにはでっかいヤマトと小さい人間が必要ってことだね」

「つまり、人間不在で、でっかいアンドロメダだけで問題を解決しようとしたアンドロメダはダメってことなんだね」

「ばっきゃろー」

オマケ完結編 §

「だからヤマトにはでっかいヤマトと小さい人間が必要ってことだね」

「そうだ。たとえ人間が倒れてもヤマトが生きていれば自動航行で地球に戻れる」

「生きているのか」

「そうだ。宇宙は生きているのだ」

「それはなんか違う」

オマケ復活編 §

「君が映画を見に行く府中はけっこう活気があるね」

「そうだ。武蔵国の国府があった場所だから昔から活気がある」

「新しいシネコンができたり、街が生きているね」

「そうだ。府中は生きているのだ」

「それはなんか違う」

「あ、念のために言うと、府中にある農工大の自主製作映画の上映会で、『大宇宙』のノリで『大府中……』と言っている映画は見たことあるぞ」

「農工大は農大と違うからな」

「あっちは経堂の方だからね」

「府中とはぜんぜん違う」

オマケ復活編DC版 §

「だけど、ヤマト世代で戦隊って通じるのかね」

「そこは微妙だ」

「時期はどうだろう」

「ゴレンジャーとヤマト第1シリーズは時期として近いのだが、その時点で既にお兄さんお姉さんの趣味であったヤマトのファンがゴレンジャーを見ていたかは微妙だな。更にデンジマンやサンバルカンになるともっと微妙だ」

「そうか」

「実際、おいらも年の離れた弟と一緒にデンジマンやサンバルカンは見ていたが、そういう特殊事情を抜いたらおそらく同世代はあまり見てないよ」

「特殊なのか」

「まして、ヤマトファンのボリュームゾーンはおいらよりもっと年上だ」

「うーむ。微妙だなあ」

「ガ○ダムの頭部バルカンとジャガーバルカンはどっちが強いか、なんて言っても通じないだろうし」

「ってか、それ比較になるのかよ」

「じゃ、ガ○ダムの頭部バルカンと床屋の頭部バリカン」

「……。山田君、オタさんの座布団全部持って行って」

「行け、バリドリーン、バリタンク、バリキキューン、バリカン!」

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