「以下はうろ覚えの話だから、真に受けるなよ」
「いいとも、どうせ話半分だ」
本題 §
「ヤマト禁止法というのは、うろ覚えだと昔のアニメック載ったみんだなおの漫画のネタだと思う」
「うん」
「うろ覚えでおおざっぱなあらすじを書くと以下の通りだ」
オタク入門的な連載があった。
講師の立派な男と生徒の若い女がいた
最後に、指導者であったはずの講師が突然ヤマト禁止法で逮捕されて生徒が取り残される
講師は隠れヤマトファンであったらしい
「さて、この物語は表層的には以下のことを語っているわけだ」
- ヤマトが好きであることは非常に良くないことである。警察に逮捕されるのはネタとしても、それは良くないことを示す表現である
「でもさ。通常それは悪人が担うべき役割じゃない? 尊敬する講師の役目じゃないよね」
「うん。そうだ。従って、この表現にはもう1つ裏がある」
「それは何だろう?」
「作者にはヤマト趣味がある(かつてあった)が、それは表出させてはならないものである」
「なるほど。単に良くないという表現ではないわけだね」
「だが、本当に良くない趣味を持っているという解釈で止まって良いのだろうか」
「というと?」
「ここに理不尽な暴力が正義の名の下に介入するという要素が存在しているわけだが、理不尽に抑圧される別の要素がオタクの世界には存在する、ということも示しているのではないか」
「そうすると、価値観がひっくり返るね。警察は正義から、正義を自称する理不尽な暴力に変わるよ」
「であれば、以下のように解釈が転換する」
- 前途ある若者がヤマトなどに関わってはならない
- なぜなら理不尽な暴力に晒されるからである
「あれ、最初にあったヤマトは悪であるという主張が消えてしまったね」
「そうだ」
「なぜ消えてしまったのだろう」
「ヤマトは悪ではなかったからだろう」
「ええっ? いやそれは分かるけどさ。どうしてそうなるの?」
「つまりさ。この話は更に一般化すると以下のように言い直せる」
- 実はオタク界には理不尽な暴力が隠されるように存在する
- 触れてはならないものに触れようとした者は、それに晒される
「あれ。だって、ヤマトは軍国的な理不尽な暴力として糾弾されるわけだろう? なぜ、糾弾する側も理不尽な暴力を持っているんだい?」
「理由は簡単だ。右翼だろうと左翼だろうと極論に走る者は、理解されないがゆえに実行力としての暴力を必要とするからだ」
「大変な話だね」
「だが話はまだ終わらない」
「まだ続くの?」
「なぜ理不尽な暴力はそこに存在するのだろうか」
「極論に走ったからだろう?」
「なぜ極論に走る必要があったのか、ということだ」
「なぜだろう」
「おそらくその理由は構造的な不安定性にある」
「えっ?」
「ツボを突かれるとあっさり崩れかねない脆弱な存在といえるだろう」
「ああそうか。脆弱であるから過敏に暴力的に守る必要があるってことか」
「そうだ。たとえば、オタクの聖地秋葉原といっても、昔は電気の街だったし、そのあとはパソコンの街だった。オタクは後から来た新参者でしかないが、もっと後から来る者達を排斥しなければならない。オタクの立場は脆弱な新参者だからだ」
「なるほど。だから自分たちの昔ながらの秋葉原の雰囲気を壊す新参者であることを棚に上げて『最近は分かっていない新参者が秋葉原に来て雰囲気を壊す』と文句を言わねばならないわけだね」
「ヤマト禁止法というたった1つのネタの裏の裏を見ていくだけで、これほど遠くまで来られたね」
「ははは。びっくりだよ」
「でもさ。更にもう1歩先に行けるよ」
「ええっ?」
「ってことはさ。ヤマトはオタクという価値観を崩壊させるツボを突く能力があるのかもしれない。少なくともオタク側からそう認識されている可能性がある」
「なんだって?」
「そんなMMRみたいに叫ばない」
「どういうこと?」
「つまりさ。オタク界の支持なんて必要無いってことを現在進行形で示しているじゃない。ファミマとAMPMとキティちゃんと鷹の爪団の支持さえあればいいわけだ」
「そうか、分かったぞ。NARUTOとかがいくら人気があっても、それは子供向けだからという理由付けもできるから致命的じゃない。でもヤマトは子供向けではありえないから、致命的になるんだ」
「オタクはアニメが好きだから、世界に通用する日本文化の支持者である、という存在理由の1つが崩壊してしまうね」
「それも、もともと嘘くさいけどね」
オマケ §
「以上はSPACE BATTLESHIP ヤマト公開前に書いた文章だ」
「うん」
「だから認識が古い」
「どのへんが?」
「『ファミマとAMPMとキティちゃんと鷹の爪団の支持さえあればいい』のあたりだな」
「今の認識ではどうなんだい?」
「オタクの支持なんて必要無い。ヤマトファンの他には木村拓哉ファンの支持さえあれば小ブームぐらいは簡単に起こせる」
「なるほど。木村拓哉ファンはヤマトにとって強力な援軍であった訳か」
「でも、いいことばかりではない」
「というと?」
「木村拓哉ファンも無駄なバッシングに晒されるわけだ」
「笑い事ではないね」
「1つだけ救いであるのは、どうやら木村拓哉ファンも叩かれることに慣れているらしいことだ」
「あれ、それはもしかして逆から読めないか?」
「そうだね。ヤマトそのものも叩かれて叩かれてひたすら叩かれて生き延びるフネであるから、叩かれ慣れた層こそが実は支持できる」
「そうか。叩かれ慣れて無くて批判されると匿名では騒げても面と向かって言われると黙り込んじゃう打たれ弱いオタクにゃ支持できないフネってことだね」
「自分が強いという幻想に浸るよりも、打たれても生き延びる強さを持つ方がいい」
「反撃は補助エンジンが始動してからで良いってことだね」
「それまでは瀕死のタヌキだけどな」
「タヌキでいいの?」
「いいんだ。平成狸合戦ぽんぽこを見てみろ」
「え?」
「多摩丘陵でタヌキは負けても滅びなかった。タヌキは雑食で強いんだ。今でも東京に住んでいるんだぞ」
「は?」
「ちなみに、平成狸合戦ぽんぽこで応援のタヌキが到着する駅は聖蹟桜ヶ丘。いつもおいらがSPACE BATTLESHIP ヤマト見ていたTOHOシネマズ府中の最寄り駅である府中と目と鼻の先だ」
「僅か3つ先の駅だね。多摩川の対岸。特急なら次の停車駅だ」
「そうさ、意外と縁がある」
「TOHOシネマズ府中で見てる君だけの縁だけどね」
「もちろん他の映画館で見てる人には何の関係も無い」
「自ら墓穴を掘っているな」
「ちなみに、最近はタヌキより狐に縁があるかな」
「それはどうして?」
「屋敷神は圧倒的にお稲荷さんが多いんだ」
「どうしてそんなことを気にするんだ?」
「だって神様を私有したら『それは私のお稲荷さんだ』と言えるじゃないか」
「なんのこっちゃ」
「ちなみに府中の大国魂神社宝物殿には、軽巡『多摩』関係の展示が多くあるぞ」
「それはどうして?」
「多摩川が名前の元になった軽巡『多摩』だから、多摩川の地元である大国魂神社を分祀していたからだ」
「多摩って多摩川だったのか」
「たまたまじゃないんだぜ」
「そのダジャレが言いたかったから延々と関係無い話をしていたのか。たまらんな」
オマケ to the future §
「というわけで現在に戻って来た」
「ここまでは古い原稿ってことだね」
「そうだ」
「それで何か追加して言うことはあるの?」
「あるある」
「何が言いたい?」
「書いたときは何が意味があるような気がしたけど、今はどうでもいい」
「なにっ!?」
「書いた原稿が順番なので公開しているが、まあどうでもいいってことだな」
「その割り切りはどこから来るんだ?」
「自分の心の弱さを誤魔化すためにヤマト叩きに費やして無駄な時間を使う人たちがいるとしても、DC版の作業にはあまり関係無いようだし、DC版を待っているこっちにもあまり関係が無い」
「そうか。復活編、実写版とかなりドキドキしながら成行を見守ったけど、予想以上の手応えが残ったことで、DC版を待つ気分にもうブレも疑問も無いってことか」
オマケ to the future2 §
「別の角度から言うと、DC版がどういう結末を迎えようと、それを落ち着いて受け入れる余地が出てきたとも言える」
「それはなぜだい?」
「結局、おいらの根っこはトクサツにあるのであって、アニメには無いことが良く分かったからだ」
「おっと、大胆発言」
「ゴーカイジャーを見て『これでよし』と太鼓判を押してしまった瞬間に、憑きものが落ちたな」
「そうか」
「そもそも、おいらはセブン世代で、サンダーバードが心の原点だ」
「アニメじゃないわけだね」
「おっと、若い人は誤解しそうな言い方だが、セブンってウルトラセブンだからね」
「わははは。若い人は誤解しそうだ」
「そうそう。大鉄人ワンセブンと誤解するとか」
「それもかなり古いって」
オマケ to the future6 §
「若い人は疑問に思うだろう」
「なんて?」
「ウルトラセブンはあるのに、ウルトラシックスは無いの?って」
「そうだね。無いよね」
「いやある!」
「どこに?」
「ウルトラ6兄弟ってのはあるぞ」
「タロウの時代だね」
「しかし、ヤマト関係無い話題だな」
「ヤマトシックスもないしね」
「アステロイドシックスならあるぞ」
オマケ6兄弟 §
「ヤマト6兄弟を考えてみよう」
- ヤマト上司ゾフィ (またの名を藤堂)
- 宇宙戦艦ヤマト
- アステロイド7
- 帰ってきた宇宙戦艦ヤマト (劇場版)
- 宇宙戦艦ヤマトA (AはアンドロメダのA)
- 宇宙戦艦ヤマトタスケ (徳川太助大活躍)
「じゃ、ヤマトの父は徳川か?」
「そうだな」
「ヤマトの母は?」
「ホワイトベースのお袋さんに相当するキャラがいないのが痛いな」
「タスケは戦う、タスケは戦う、タスケ、タスケ、タスケ♪」
「宇宙戦艦ヤマトAの実態は実はアンドロメダそのもの」
「えっ?」
「二連拡散波動砲はそれぞれ北斗と南という名前が付いている」