2011年08月07日
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脱Googleは可能か? Bing乗り換え記

Written By: 川俣 晶連絡先

「最近のGoogleに対する悪い評判は、こっちが愕然とするほどだ」

「そんなに?」

「正義のGoogle。正義のオープンソースの理解者。Linuxの大口ユーザー。ネットの成功者。批判することもはばかられる王道。人気絶頂。Windowsの時代が終わってAndroidの時代がやってくる。だってiPhone以外は全部Androidさ。良いものじゃないと選ばれない、Googleバンザイ……、というイメージがマスコミレベルでは維持されているが、ユーザーレベルではどんどん壊れているようだ」

「おいおい」

「そもそも、基盤である検索エンジンが既に危うい」

「えっ?」

「白くてシンプルで無駄な機能が無くて素早くて、しかも出てくる候補がライバルより的確……という特徴ゆえに検索エンジンのGoogleは快進撃したと思う」

「そうかもね。ライバルはあまり的確じゃなかったからね」

「しかし、最近ではGoogle検索はかなり変化した。機能がごてごて増えているのに、動作が重い。使い勝手が悪い。頭でかっちの子供が考えた『より便利になっているはず』というお節介機能が増えているからだろう。ともかく過剰に重すぎるという状況に遭遇した。クリックして苦痛に耐えながら待つことが増えすぎた」

「それで君の対策は?」

「他の検索エンジンへの乗り換えが可能か、実験してみようと思った」

「どこに乗り換えるんだい?」

「とりあえずBingを題材に選んだ。最初にBingを選んだのは、IEと同じマイクロソフトが提供しているから、という以外に特に理由はない。それにBingだけを候補にしたつもりもないしね。結果として最初に選んだBingで落ち着いちゃったけど」

「それだけ?」

「いいや。他の検索エンジンを使っても、結果としてGoogleのエンジンが動いていたら比較する意味が無い。その点で、Bingなら使ってないだろうとほぼ断定できる」

「それで、具体的には?」

「一時的にWebブラウザの検索エンジンを切り替えてしばらく試した後、以下の2点を実行してみた」

  • Googleツールバーの停止
  • Bingをデフォルト検索エンジンに切り替え

「結果はどうだった?」

結果 §

「総合的な結論は以下の通りだ」

  • 総合的な使い勝手は大差ない。すぐ乗り換えたことを忘れてしまった

「そんなに?」

「確かに検索結果はGoogleの方がまだ良いが、実はそれほど重要な意味を持たないことに気付いた」

「どうして?」

「多少込み入った検索をすると、検索結果の数ページをチェックしないと目的の情報にたどり着けないのだが、そこまで見るなら検索結果の多少の善し悪しにはほとんど意味が無い」

「そうか」

「逆にGoogleは使い勝手の悪化が足を引っ張っている部分もあるしね」

「だから、総合的には大差ないという結論になるわけだね」

個別の感想のまとめ §

  • 検索結果は、まだGoogleの方が少し良い
  • 検索結果をキーボードで操作するときの素直さはBingの方が上
  • サーバの重さは、Googleの方が重い気がするが、Bingでも重いときは重い (それでも総合的にはBingの方がレスポンスが軽い)
  • 特にメジャーな情報が上位に来ることはどちらも多いので、それほど決定的な差はない

感想 §

「それで、この結果を君はどう見るんだい?」

「Bingが特に優れているわけではないと思う。どちらかといえば、Bingが勝ったというよりも、Googleの一人負けだ」

「自滅ってこと?」

「プロプライエタリ(まさに差別用語だw)対オープンソースの決戦が始まると息巻いている10年ぐらい前の時代なら、味方は1社でも多い方がいいからLinuxのヘビーユーザーであるGoogleもオープンソース陣営にカウントされて応援してもらえる。しかし、この時点での『オープンソースの味方』には『なんちゃってオープンソース派』が多いのも事実だ。オープンソースの理解者の振りをして、重要なソースは絶対に開示しない企業がけっこう多い。Googleもその1つだ。マイクロソフトが1強の座から脱落した今は、決戦ではなく利益配分の時代に入ったといえる。そこで、『オープンソースの味方』には『オープンソースの理念の忠実な履行』が求められるがもちろんそれは不可能だ。企業秘密を開示してライバルに塩を送るだけでなく、悪用までされることになる。しかし、既に『オープンソースは素晴らしい、正しい』と言ってしまった過去は残る。そこで、成功した『なんちゃってオープンソース派』は引き裂かれることになる」

「Googleも引き裂かれているってことだね」

「そうだ。引き裂かれて本来あるべき自分すら維持できない状況なのだろう」

「それでGoogleはこれからどこに行くの?」

「さあ。それは誰にも分からないのじゃないか?」

「どうして?」

「自分を見失った人がそれでも前進せざるを得ないとき、行き先の予測は立たないよ。本人ですらもね」

「つまり、朝起きたら札幌にいるか鹿児島にいるか分からない夜行特急ってことかな?」

「そうだ。ならば、朝起きたら大垣にいると分かっている普通列車の方がマシだ」

「そんなに?」

「ただし、大垣に行けるのは立派な話だってことも事実だ」

「えっ?」

「京急なら途中までしか行けないんだぞ」

「そうか。比較対象がGoogleだから『結果は落ちる』と言ってしまうけれど、絶対的な評価はそれほど悪くないってことだね」

「最低限、乗り換え可能な範囲には既に入っているとは言えるだろうね」

余談 §

「もう脱Google完了?」

「いや。まだGoogle MapsとAdsenseを若干使っている」

「その辺はこの先どうなるの?」

「未定だが、地図の方は既に半分ぐらいgoo地図を併用している」

「どうしてgoo地図?」

「昭和22年とか38年の航空写真に簡単に切り替えられるからな」

「そこがメリットなのだね」

「逆に言えば、Google Mapsの方はバグでおかしい時期があったり、機能が変に制限されている時があったり、バグがいつまでも取れないことがあるので、どうしてもオンリーワンのメインにしにくいという要素もある」

「そうか」

「逆に、goo地図はバージョンアップで使い勝手が良くなっているので、使用比率は増えている。というか、以前はGoogle Mapsに切り替えて地図を見ていた状況でも、今は切り替えないでそのままgoo地図を見ているケースも増えてきている」

余談2 §

「地図と言えば、昔、Google MapsはマイマップのKMLをダウンロードできたが途中からできなくなった。Google Earth起動のメニューに変わってしまったんだ。でも最近は戻って来た。素直にKMLをダウンロードできる」

「強硬姿勢を緩和したってこと?」

「それだけGoogleも追い詰められているんだろう」

「本当に?」

「さあな。担当者の気まぐれに過ぎないかもしれないしな。おいらには分からない」

更に余談 §

「それで、これはMSからVisual C# MVPの称号をもらってMSよいしょのためにやった乗り換え?」

「そうじゃない。検索結果が重くてぶち切れたのは、MVPになった遙かに後の話だ。因果関係は無いよ」

「でもさ。立場的にMSに近いんだろう?」

「それが重要なら、みんなYahoo!Yahoo!と言っていた時代にマイナーだったGoogleを既に使っていた理由が説明できないぞ」

「えっ?」

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