「驚いたね」
「何が?」
「SkyDriveだよ。想像を絶する」
「どんなことが起きたの?」
「うん。まずIS12TのカメラでSkyDriveへの自動アップロードを設定した」
「それで?」
「アドエス解約に明大前のウィルコムまで自転車で走った。その途中で何枚か写真を撮った」
「うん」
「帰ってWebブラウザでSkyDrive開いたらもう撮った写真が入っていた」
「へえ」
「話はまだまだだ」
「えっ?」
「そのあと、ふと見るとWordとかExcelとかのアイコンが小さく上に出ていた」
「宣伝のアイコン?」
「そうじゃない。Wordのアイコンをクリックすると、Microsoft Word Web AppというソフトがWebブラウザ内で開いて、そのままWordドキュメントの編集が可能になった」
「Office 365?」
「別にOffice 365の契約はしてないから、そうじゃないようだ」
「なるほど。簡単な文書を作成するだけならSKyDriveから一発ということだね」
「いやいや。まだまだ」
「えっ?」
「Wordで開くというボタンがあった」
「押したらどうなるの?」
「Office 2010インストールしてあるかっていうからハイって答えたのに見つけられなかった」
「それで?」
「IEが64bitで、Wordは32bitだった。それが悪いのかも知れないと思って、32bitのIEで開き直した」
「どうなった?」
「Liveのログイン情報を入れさせられたが待っていたらWordで開いた」
「えっ、それは凄いじゃん」
「技術的にも凄いが思想的にも凄い」
「どういう意味?」
クラウドの罠 §
「IT業界で見る最もアホらしい発言は『全てがクラウドになる』だ」
「えっ?」
「だって、全てのデータを他人に預けるなど常識的にあり得ない」
「そうか。情報は外に出してもいいものと、出してはいけないものがあるわけだね」
「その違いが分からないあほどもは、全てをサーバに集約したがるがそれはいつか来た道だ」
「いつかって、まだ実現していないじゃないか」
「してるさ。初期のコンピュータは一極集中だったんだ。1つのCPUをみんなで使って遅くなっていた時代があるんだぜ」
「TSSとか、そんな昔のことはみんな知らないよ」
「知らないから騙されてつけ込まれるんだ」
「分かった。じゃあ、それとこれはどう話が関係するんだい?」
「だからさ。閉鎖環境とクラウド環境はどちらも必要であり、かつ、相互運用可能である必要があるんだよ」
「えっ?」
「たとえば、IS12Tを使って出先で内蔵Wordを使ってメモを取るとする。その場合保存先はいくつも選べる。SkyDriveでもこの電話でもいい」
「つまり、クラウドにも上げられるし、電話ローカルに保存もできるわけだね。でも、ローカル保存は使い勝手悪いよ」
「SharePointサーバを自前で立ち上げればいい。保存先に選べる」
「ぎゃふん」
「公開情報をメモするだけなら、SkyDriveでもいいだろう。しかし、考察を加えて提言になるとクラウドには上げたくないかもしれない。その場合は、SkyDriveの文書をそのままローカルのWordに持ってきてそのままローカル文書として管理すればいい。それっきりクラウドには行かない」
「なるほど。文書の性質によって自分でコントロール出来るわけだね」
「しかも、文書の性質は途中で変化する。それにも対応できるわけだ」
「そこがポイントだね」
「そうだ。ただし、ユーザーを奴隷化して自由を許さない思想にある場合は理解できないかもしれない」
「つまりどういうこと?」
「ユーザーに自分のコントロール権を与えたくない人たちだ」
「たとえば?」
「だから、全てがクラウドになるとかいう人たちだよ」
「なるほど。まさに選択の自由がないね」