今の時代は1980年頃に不気味なほどよく似ていることに気づきました。
以下のような感じです。
不正コピー天国 §
コピーできるものはコピーするのが賢い行為。金を払うなんて馬鹿のやること。パソコン雑誌のプログラムリストをコピーするのも当たり前なら、市販ソフトをコピーするのも当たり前。学校の授業で先生が自ら不正コピーを学生に配るのも当たり前。罪の意識? あるわけないでしょ。みんなやってるし、賢い人はコピーするもの。
非互換性の混沌 §
機種ごとに全部互換性が無いなんて当たり前。ましてメーカーが違えば動かなくて当たり前。ただ単に同じものを別環境用に書き換える「移植」に対して絶大なニーズ。
無限の可能性とのギャップ §
マイコンには無限の可能性があると言われるにも関わらず、スイッチを入れても電卓としてすら使えないていたらく。
今のスマホもパソコン不要と景気のいいことが言われる割にガラケーにできることがあれもこれもできないていたらく。
高すぎるハードル §
ビジネスマンはBASIC言語を使いこなさねば、と言われたものの、素人がちょっとスクールに通った程度でビジネスに耐えられるプログラミングなど明らかに無理。
今も、電話を掛けるだけで精一杯のユーザーが多いのに、スマホの使いこなしなど要求しても無理。
囲い込み §
利用者はあの手この手で囲い込まれ、XX派のような派閥化してタコツボに入ってしまう。
キラリと光るのは世間のあらゆる主流に背を向けるSC/MP派。今はWP7派。
マイクロソフトの存在感の希薄さ §
1980年前後のマイクロソフトはBASICという重要な部品を供給するだけであり、ほとんどの利用者は意識もしない。たとえば、Apple-][の10K BASICがマイクロソフト製でもみんな意識もしない。みんなAppleのパソコンを使うだけ。OSも供給していない。当時最大手のOS供給元はデジタルリサーチであり、MSではない。
今も、Windows Azureでライバル技術であったはずのJavaが使えるとかOSSが使えるとかアピールしまくり。社員まで自社技術を馬鹿にするほどで、存在感はとても希薄。
間違った正義の味方 §
電卓上がりで命令体系が汚い80系と、ミニコンから下がってきて命令体系が綺麗な68系があり、それぞれ派閥を形成。68系の方が優秀のはずなのに、80系の方が優勢。68系を支持することが正義のような風潮があったものの、実際に冷静に見てみると68系の命令表は直交しているように見えて実は穴だらけでそれほど綺麗でも無い。要するに、風評と現実は比例していないということ。
今でも、素晴らしいと言われる技術にはかなり落とし穴があって、風評と現実は一致していない。
感想 §
でもね。ほとんどの人はこの時代のことを知らないでしょう。21世紀になって初めて到来した何か新しい状況だと思っているかも知れませんが、ぜんぜんそんなことは無いわけですね。
でも、けっこう重要なアイデアを語っているはずですが、ネットの情報の奔流に押し流されて、ほとんど目立ちもせずに消えてしまうのでしょうねえ。
まあ、あの当時もそうして流されて消えた冴えた小さな記事も多かったわけで。
追加1件 §
というわけで、追加1件。
新しい状況が到来したと思っている人が多いのに、実は繰り返しが多いのも当時と今では似ているのかも。ミニコンやオフコンで当たり前のことを、スケールダウンしてマイコンの世界に持ってくるだけで斬新ともてはやされたり。今でも受けたければ、みんなが知らないことをすればいくら焼き直しでも新しいと褒めて貰える。