「ヤマト2でいちばん面白いのは、ヤマト奇襲にかけろだと思っていた。あくまで個人的な思いだけどな」
「それで?」
「でもさ。テレサがテレザートを吹っ飛ばすところも、実は面白かった気がする」
「どうして?」
「決定的にさらばと決別する展開だからだよ」
「どういうこと?」
「ここでテレサが死んだら、ストーリーが別物になる」
「確かに」
「でも、結局生きてた」
「そうだね」
「一番の見所が不発で終わった」
「そ、そうかも」
思い出 §
「ここは思い出ある」
「なんだい?」
「このとき、まだビデオデッキは普及していなかった」
「うん」
「確か学校行事で泊まりがけでどこかに行った。その結果、ヤマト2を見られなかった」
「それで?」
「ビデオデッキを持っている金持ちのクラスメートが録画してくれたので、みんなで見にいった」
「みんなでか」
「そうそう。当時はまだヤマトという3文字に神通力があったのだ」
「へー」
「で、ビデオで2回見たよ。やはりインパクトがあった。テレサが死ぬところはね」
「そうか」
「でも死んでなかったので、あのときの涙はなんだったんだ!」
オマケ §
「2003年のハーロックは考えれば考えるほど面白い」
「そうなのか?」
「これをマゾーン戦の後の物語と考える人もいるが、実際には矛盾する。そうではなく旧ハーロックの語り直しなのだ」
「なぜ語り直す必要があるの?」
「物語の軸として、父殺しが定番であり、それが必用だからだ」
「父殺し?」
「概念上の死でもいいけどね」
「たとえば?」
「スターウォーズなら父がダースベイダーであり敵だ」
「なるほど」
「さよなら銀河鉄道999なら黒騎士ファウストだな」
「確かに」
「(ジブリの)ゲド戦記に至っては、父殺しから始まる。しかもさしたる理由が無い」
「無いのかよ」
「息子が父を殺すのに理由は要らない」
「えー」
「であるから、台場も父殺しを行わねばならない。しかし、旧ハーロックでもできていないし、2003年のハーロックでも父親は殺されてしまう。自分では殺せない」
「うん」
「だから、ハーロックは父として殺される立場に立ったのだ。父を殺した男に復讐するという目的ゆえに、第2の父を殺さねばならない」
「ハーロックがこの場合は台場の第2の父なんだね」
「そうだ。だから、2003年のハーロックは台場とハーロックが銃を向け合うことで本編が終了する」
「実際に撃つところまで描かれないよ」
「それでいい。なぜなら、概念上の殺害でも良いからだ。実際に殺す必要は無い。まあ殺した方が物語としては分かりやすいけどな」
「じゃあ、ハーロックと台場の決闘はどうなったの? 本当に撃ったの? 殺したの? どっちが勝ったの?」
「さあな、もっと研究の余地がある」
「なぜ2003年のアニメを今頃語るの?」
「理由は簡単だ。2003年はまだ見るものが多く、ハーロックもONE OF THEMに過ぎなかった。しかし、今になって見ると、話が変わってくる」