「無の黒船 クライシスIII……。10年以上前のかなり古いコミックだ」
「監修竹内均の松本零士のコミックだね」
「しかし、今読むと顎が外れた」
「どうして?」
「あまりにも状況がフィクションと言い切れない」
「どんなストーリーなんだい?」
- 原発が全て止まる
- 石油も輸入できない
- 日本は大停電になり夜も暗くなる
- 電圧を下げる蝋燭送電すら行われる
- 電気が足りないのに賛否両論で原発を稼働できない
- 自衛隊は撃ち返せない
- 日本は分割占領され、各国から略奪される
「略奪まではされてないだろ」
「そうだ。でも、以下は洒落にならないほど現状に似ている」
- 原発が全て止まる
- 電気が足りないのに賛否両論で原発を再稼働できない
「まあ確かに、定期点検に入った原発が再稼働できない現状だしな」
「作中でも、友達どうして原発を再稼働すべきか議論が起こる」
「えー。そんな討論、今のテレビでいくらでもあるじゃん」
「しかも、イランからの石油が輸入できなくなる可能性があり、『石油も輸入できない』まで視野に入っている」
「そうか」
「蝋燭送電は無いが計画停電は既にある話だ」
「確かに」
「そして、ここがポイントだ。日本人はアリではなくキリギリスになろうとしている現状。見ているとまったくその通り。必死に泥臭い仕事をしないと豊かさが維持的無いという悲壮感は無い。より多くの分け前を寄越せという『富の争奪戦』に日本人は邁進しているように見える。そして、日本が貿易赤字国になったというニュースを見たばかりだ」
「怠けた日本人が、諸外国に付け入る隙を与えているからってことだね」
「そうだけど、やはり問題はこれ。『予測された災厄』ってことだな」
「10年以上まえのコミックに既に出ていた話ってことだね」
「結局、原発が止まる要因がクラゲじゃなくて地震になっただけだ」
「原発は危ないぜ、というのは既に予測されていたわけだね。でも回避できなかったのか」
「そうだ。とすれば、日本が分割占領されるとか、各国から略奪されるとか、そういう未来も現実にあり得るかもよ」
「考えすぎじゃないの?」
「既に、過去にあっては『考えすぎ』という情況が現実化している。1ドル70円台まで上がってしかも、いつまでも続く状況など昔は考えられなかったよ。1ドル100円ですら、夢想的なレートだった時代まである」
「ちなみに、君が子供の頃は1ドル何円?」
「1ドル360円!」
「うそー。桁間違えてない?」
「ほんとほんと」