「横田順彌さんの本を他人に貸すにあたって、はたと気付いたことがある」
「なんだい?」
「探書記という著書もあった。新渡戸稲造の野球害悪論がまだ珍しかったことに載っていた本だ」
「へえ」
「探索して掘り出してきた」
「探索したのか」
「置いてあったと思った場所になくてね。裁断スキャン待ちの山に入っていた」
「わははは」
「それで、そこではたと気づいた」
「何を?」
「他に横田順彌さんの本が本棚に寝ている可能性がある」
「そうか」
「そう思って調べたら、角川文庫の平成7年の文庫本で人外魔境(小栗虫太郎)が出てきた。これはラッキーだ。当時読もうと思って買ったものの、忘れ去られて寝ていたらしい」
「今は読むのだね?」
「読みたいと思う」
「それだけ?」
「肝心の横田順彌さんの本が見つからないのも悔しいので、更に探索を続行したら、大陸書房ネオファンタジー文庫の『はるかなる旅路』という文庫本が出てきた。これも読んでいないと思うので、読んでおこう」
「君の本棚はワンダーランドだな」
「本屋に行って数千円単位で買い物をしていた時期は、読み切れるキャパを超えて買っていたからなあ。最近はそこまでの散財はしないが、それでも読み切れなくてあぶれる本がある」