「というわけでワンフェスである」
「はいはい」
「滅多に行かない珍しいワンフェスである」
「はいはい」
「これで体力気力は使い尽くしたので、もうコミケには行けないワンフェスである」
「はいはい。それで戦利品は?」
- ピンキーストリート改造パーツのシムーン
- 3Dプリンターのパンフレット1枚
- ファインモールドのご機嫌クリーナー
「なんか凄く意味不明だよ」
「シムーンは、知り合いの造形だし、ピンと来るものがあったので買った。しかし、ピンキーストリートの頭部がないと作れない。1体調達しないと」
「君がピンキーストリート?」
「変な萌え企業ではなくGSIクレオスの製品だからちょっと安心」
「それだけ?」
「ピンキーとキラーズ世代をなめるな。わーすれられないの(わすれられないの)♪」
「それは関係ないから」
「そんなー」
「3Dプリンターのパンフレット1枚ってなんだい?」
「たかが13万円程度で凄くいい造形を行う機材が展示されていた。しかも動作音が凄く静か。これがあればうるさくて大きなモデラを追放できる……かもしれない。しかも、モデラではスピンドルが入れない部分は掘れなかったが、これならそれも含めて造形できる。金は掛かるが本気で導入を考えた」
「予算の裏付けは?」
「そんなものは無い。だからすぐ買うのは無理。でも本気で欲しいと思った」
「じゃあ、ファインモールドのご機嫌クリーナーってなに?」
「『一部輸入プラキットやレジンキットに残った離形剤の洗浄に使える』という。本当に落ちるかは知らないが、ダメ元で買ってみた」
「なぜ?」
「離形剤が残っていると塗料を弾いて上手く塗れないが、1回では十分ではなく、何回も洗ったケースもあって、パーツの洗浄力アップは至上命題だったのだ」
「それで、どんな萌えフィギュアも買わずにそんなものばかり……」
オマケ §
「キービジュアルのリセットちゃん、色っぽいコスチュームで好きだぞ」
「えー」
「でも、ガイドブックのワンダーショーケースに書いてある『誰が選ばれたかよりも、なぜ選ばれたのかを論じて下さい』の文言は無視してスルーすることに決めた」
「なぜ?」
「現在の自分の課題は積まれたキットの消化だ。つまり、それを作ることだ」
「消化するためのモチベーションが欲しいのに、そのためのモチベーションに関係ない事象には関わっていられない、ということだね」
「そうだ。これといって趣味じゃないジャンルで、他人が作った模型を論じる時間があれば自分の模型を1つでも多く作りたい。以上」
「じゃあ、何があればモチベーションが上がるの?」
「そうだな。ファインモールドのご機嫌クリーナー」
「少しでも作りやすくできそうな道具があれば、それがモチベーションになるってことだね」
「そうだ。現在の自分が必要としているのは結局いい道具だ。素晴らしい作例でも、優秀なクリエイターでもない」
「作品はこれから産み出す予定であって、他人の作品を見たいわけでは無い、ということだね」
「まあ他人の作品も、同じような作り方はやめておこう、という趣旨での参考にはなるけどな」
「ぎゃふん」
「でも、それも同じジャンルならの話だな」
オマケ2 §
「つまり君はクリエイター諸氏と同じレベルにいると自認をしているわけ?」
「そんなことはないぞ。同じレベルにはおそらくいないだろう。でも、そのことと、自分の作品を作るという問題は別だ」
「どういう意味?」
「自分が目の前に持っているキットや、そのために動員できる機材やスキルがまず違う。だから、自分なりの答えを出して作っていく必要があり、自分なりの解釈で自分の作品を仕上げねばならない。他人は参考にならないし、比較の対象にもならない。あくまで自分は自分の答えを出す必要がある」
「どれほど才能がある人が他にいても、彼は答えをだしてくれないってことだね」
「彼から見れば、あくまで他人の問題だからな」