「昨日は本当にのけぞった」
「何?」
「いきなり前置き無しにロバのパン屋をテレビ画面で見てしまった」
「ロバのパン屋……。歴史番組?」
「いや。そうじゃない」
「ならグルメ番組?」
「そうじゃない」
「いったい何だよ」
「しろくまカフェというアニメがあってね」
「どんなアニメ?」
「人間と喋る動物が普通に一緒に暮らしているアニメ。カフェのマスターがしろくまで、客がパンダとペンギン。ウェイトレスは人間の女性」
「動物がいろいろな職業に就いていたりするのだね」
「そうそう」
「でも、ロバのパン屋との関連が分からないよ」
「だからさ。ロバがやってるパン屋が出てきたの。おおかみさんの再就職先として」
「ちょっと待てよ。ロバか馬が引いてくるパン屋じゃなくて、ロバがやってるパン屋?」
「そう」
「関係ないよ」
「でもさ。パン屋を出すなら別に動物は何でも良かったはずだ。それなのに、あえてロバを出したのはロバパンに引っかけたネタなんだよ」
「えー。若い人にはそれ分からないよ。っていうか、君だってロバパンを知らなかったじゃないか。かなり年配の人じゃないと分からないよ」
「何かの理由で知っている人がそういうネタを仕込んだのだろうね。原作にもあるのかな。あれば仕込んだのは原作者だね」
ぼやき §
「っていうかさ。君アニメのどこを見ているわけ?」
「さりげない昭和ネタ」
「本題は見てないだろ」
「うん。志村けんネタやってるアニメとか、石原裕次郎ネタやってるアニメとか、選んで見ると楽しいよ」
「ぎゃふん」
続・ぼやき §
「念のために質問するけど特撮はどこを見ているの?」
「背景。ロケ地どこかなーとか、送電鉄塔が背景に見えたとか、やっぱりこれ多摩川だよなーとか」
「ぎゃふん」
続々・ぼやき §
「そういえば、前にやってたしろくまカフェ・エンディングの『みずいろ』っていう歌の背景に世田谷線(実車映像)が出てきてのけぞったっけ。ヒロインっぽい女性が世田谷線沿いからおそらく多摩川の崖の当たりまで自転車で走っている映像」
「見ているのはそんなところばかりなのか」
「もちコース」