TOKYOナンパストリートより
X1版では当時の8ビットパソコンではめずらしく、OSらしきものから動作しているように見受けられた。まずDOSのようなものが起動し、それからゲーム本体をロードしていた。フェイクだった可能性も否めないが、当時はこれをみてかなり想像力をかき立てられた。
「わははは、これは笑った」
「なんでだよ」
「あれを見て気にしている人がいたのかと」
「なぜだ」
「じゃあ全部説明してあげる」
- TOKYOナンパストリートのX1のDISK版の起動に使用されているのはMINI-DOSのX1版。最小限の機能のみのX1へのポーティング版
- MINI-DOSは本来PC-8001用。これをX1に移植したもの
- MINI-DOSの目的はZ-80のアセンブラによる開発。主なソフトはエディタのSOCEとアセンブラのAZA。その他小物ツール
- PC-8801にも対応するが、N-BASICモードで稼働する。N88モードでブートしても自動的に切り替えて起動し直す (そういう88対応機能は含んでいる)
- TOKYOナンパストリートの88版のDISK版の起動にも使用されている (つまりN-BASICモードで起動して、88固有のハードを使用している)
- TOKYOナンパストリートのX1のDISK版にMINI-DOSが使用されているのは移植の手間を減らすため
- X1版はミニマムなポーティングなので、全てのソフトは移植されていない。直接VRAMを書き換えているスクリーンエディタのSOCEは動かないが、OSのファンクションコールだけで動いているアセンブラのAZAは動いた
「ちょっとまて。詳しすぎるだろう。なぜそこまで詳しいんだよ」
「だっておいらが書いたソフトだもの」
「えー」
TOKYOナンパストリート豆知識 §
- あとから発売されたX1版の方がバグが少ない
- nnという中間コードコンパイラでBASICソースをコンパクトな中間言語に置き換えて実行しているから、ゲーム本体に基本的には機種依存性が無い。しかし、プロテクトが掛かってるから普通の方法では抜き出せないし、抜き出しても実行できない
「ちょっとまて。詳しすぎるだろう。なぜそこまで詳しいんだよ」
「だっておいらが書いたソフトだもの」
「えー」
オマケ §
「結局、MINI-DOSって何なの?」
「既存の開発環境があまりにクソなので、自前で作り始めたもの」
「依頼されたものではないの?」
「そう、自主的に開発を始めたもの」
「既存の開発環境はなぜダメだったの?」
「遅いか機能不足かの2つに1つ」
「遅いのならマシンをパワーアップすればいいじゃん」
「事実として、当時遅すぎたM80はPC-9801VM2の8080互換モードでは快適に動いたよ」
「じゃあマシンを買い換えれば……」
「無かったんだよ、当時は98すら」
「CPUをもっと速いのに交換して……」
「もっと速いZ-80は当時まだ無かったんだよ」
「じゃあ、TOKYOナンパストリートも自主的に開発を始めたもの?」
「いや、依頼されたもの」
「なぜ頼まれたの?」
「移植が技術的に難しそうだったから」
「なぜ?」
「元はFM-7用だけど、PC-8801はフリーエリアがもっと小さかったから」
「圧縮したんだね?」
「そう。確かNAMPALというベクターグラフィックフォーマットを作って、それに変換してサイズを稼いだ」
「そうか」
「しかしな。フェイクかも知れないと思われているとは思いもしなかった」
「わははは」
「これは思いも寄らないビックリ解釈だ」