ネットを調べた結果、日本語の情報は皆無。英語でも揃わず、ロシア語のサイトまで行く必要があったのでメモ。
概要 §
- 1930年代のフランスの4発爆撃機
- 1機だけ作られた
- メーカー名がDyle et BacalanからSABに変更されたので、SAB AB-20ともDyle et Bacalan AB-20とも呼ばれる。ただしSABはSAABではないことに注意
- 原型機は旅客機のDyle et Bacalan DB-70
- 主翼より前は胴体が1つだが、後は双胴になっている。垂直尾翼も2枚ある
- ただし、DB-70は3発。AB-20は4発。つまり、DB-70は胴体の先端にもエンジンがあるが、AB-20は主翼の双胴よりも左右にエンジンが更に付いている (どちらも双胴の先端に2つ付いている)
- 違うエンジンとより洗練された空力のAB-21が1機存在する
- それ以後の後継機は存在しない
- AB-22はAB-20に75mm砲を追加した試作機だが、上手く行かず中止されている
- 双胴の中間の主翼は大きく膨らんでいて窓のあるキャビンとなっているが、ここは形状的にリフティングボディとなっている (原型機のDB-70にはそれを明瞭に示す写真がある。たとえばこのページの最後の写真。この写真は残念ながらAB-22)
写真 §
ロシア語のサイトだがここに写真がある。(ただし、文字はぜんぜん読めなかった)
UKの業者がWarplane Cardという飛行機写真のカードとして、Dyle et Bacalan AB.20Bn.4, France - Heavy Bombers - Warplane Cardというものを売っている(Ships to: Worldwideと書いてあるのでたぶん日本からも買える)
その他 §
メーカー名がDyle et Bacalanは日本語WikiPediaで検索すると鉄道車両関係で若干ヒットする。その際、DyBと略記されているらしい。
具体的には、航空機の一覧 (D) 、ニヨン-サン=セルゲ-モレ鉄道ABDe4/4 10-11形電車 、ニヨン-サン=セルゲ-モレ鉄道ABDe4/4 1...6形電車 、ブークリエ級駆逐艦などにDyle et Bacalanへの言及がある。
SABは航空機の一覧 (R-S)に言及があり、AB-20の名前は記されているが、説明は一切無い。
感想 §
「たぶん、SAB AB-20が分かる日本人はとても少ない。何人いるかしらないけど、おそらく数えられるレベル」
「えー。君はなぜ突然SAB AB-20と言いだしたんだい?」
「ICMのI-16の箱の横に他の製品のパッケージアートが小さく並んでいてね。それを眺めていたらTB-3が気に入ってね。日本語WiliPediaのTB-3の項目があまりにも短いので英語のWikiPediaのTB-3を見ていたら、比較可能な機体として三菱キ-20とSAB AB-20の名前があったのだ。そして、SAB AB-20を調べ始めて、あまりにも日本語情報が無いのではまった。世界中のサイトを飛び回って調べてしまったよ。はっはっは」
「三菱キ-20はいいのかよ」
「九二式重爆撃機だからな。そこそこメジャーだ」
「でもさ。AB-20ぐらいマイナーな飛行機はいくらでもあるじゃないか」
「SAB AB-20は形が良いんだよ。双胴だし。垂直尾翼2枚あるし。エンジンの内側はリフティングボディだし。強引に3発機を4発に直したような形状もいいね」
「それで?」
「マイルズメッセンジャーが最もマイナーなレベルかと思ったら、SAB AB-20はそれ以上にマイナー。マイルズメッセンジャーはあれでも1/72の模型のキットがあるんだ。外国に目を向ければ。しかし、SAB AB-20は模型のキットすら見つけられなかった。外国に目を向けても」
「でも気になるわけ?」
「だって形が面白いじゃないか」