「きむらたかしさんより、いくつかの神社跡の住所をご教示頂いたので見に行こうと思ったら忙しかった」
「ひ~」
「やっと行けると思ったら今度は長雨」
「ひ~」
「やっと行ってきたら帰りに降られた」
「ひ~」
「しかし、既に何も無い神社の跡地に言って何が面白いのかと思ったら、これが超絶面白い。びっくりした。予想外のものがたくさん見られた。ありがとう、きむらさん」
「1つ1つ説明を頼むよ」
無格社 神明社 §
- 神奈川県武藏国北多摩郡烏山村字山東
- 世田谷区烏山町131
- 同八幡山3-38-10
- 環八東側ドンキの南
「環八と団地建設の影響と思うが痕跡らしいものは一切認められなかった」
「そうか」
「しかし、場所はまさに烏山川の目の前のロケーションで、まさに人が住んでいておかしくない場所。当然神社があってもおかしくない」
「それだけ?」
「ちなみに、近くには駅前以外の小商店街が存在するのだ。まあ団地が目の前にあるので、それを当てにした商店街かもしれないが」
「他には?」
「団地の間に1つ大きめの公園があるのだ。そこが怪しいと言えばちょっと怪しい」
「公園に神社があった?」
「それは分からない。しかし、神社は神社以外にもまとまった土地を持っていた可能性がある」
無格社 春日神社 §
「このあたりは区画整理が進んでいて痕跡も何も無いのだが、ここも水路跡探索で歩いた場所。まさに水のある場所。人が住んでいておかしくない」
「痕跡は無いのだね?」
「特に何も見つからなかった」
無格社 稲荷社 §
- 神奈川県武藏国北多摩郡烏山村字千駄山
- 世田谷区烏山町1031
- 北烏山1-9-19
- スシローの裏
「これこそ行ってビックリだよ」
「なんで?」
「この住所の隣に、家の墓地と思われる小規模な墓地があった。本来は無格社 稲荷社の付帯設備の墓地だったに違いない」
「逆にいえば、間違いなくそこに神社があった証拠ということだね」
「神社は統合されても墓地は残ったようだ」
「そうか」
「しかも、そこは意味ありげな細い道」
「それはビックリだったね」
「ちちち。まだまだ」
「えっ。まだあるの?」
「そのすぐ近くに、よく知っている五叉路があったのだよ。お地蔵さんのある五叉路だ。水路跡を追いかけて通った場所だ」
「えー。まさにビックリ」
「ここに何かあってもおかしくないロケーションだ」
無格社 稲荷社 §
- 神奈川県武藏国北多摩郡烏山村字西ノ谷
- 世田谷区烏山町1748
- 北烏山3-6-9
- 要するに、北烏山3丁目公園の南西です
「まさか、もっと大きなビックリが待っていたとか?」
「待っていたよ。この北烏山3丁目公園の北東にはまとまった規模の墓地が存在している。武州烏山村史跡立帖場の碑も立っている場所だ」
「なるほど。墓石が2つ3つあるだけの小さな墓地ではなく、本格墓地ってことだね」
「そこから逆算すると北烏山3丁目公園を包含する土地を稲荷社は持っていたのではないかと推定できる。goo地図の古い航空写真を見ても稲荷社そのものは北烏山3丁目公園の南西にあったと思われるが、そこから北烏山3丁目公園とその先の墓地まで稲荷社の土地だったのではないか。そして、土地を宅地として切り売りするようなさもしいことをしなかったので、まとまった土地が残ってそれが公園に変化したのではないか、と推定してみた」
「推定かい」
しかし…… §
「どうもgoo地図の昭和22年を見ていると、違う解釈もできるような気がしてきた」
「まさか」
「この墓地の東にもう1つ神社があったのではないだろうか。ただし、これは昭和38年の段階で既に無い」
「えー」
「近くに寺も多いことが関係あるのかも知れないし、無いかも知れない」
「じゃあこの墓地はそっちの神社のもの?」
「かもしれないし、違うかもしれない」
「結局なにかも分からないのかよ」
感想 §
「本当に面白いね」
「結局何が面白いんだ?」
「セットだよ」
「は?」
「何かを調べると隣接していろいろなものが見つかる。既に存在しない神社という前提で行けば何も残っていないはずだが他の何かがそこにある。特に書かなかったけど、他に河川跡っぽい細長い土地や、給水塔なども見てみるのだよ」
「分かった。暗渠を辿ると大型マンションや団地やGSを見てしまうのと同じことだね」