「今日は朝から雨だった。しかし、途中で雨が上がったので、仕上げのつもりで烏山方面に出向いた」
「何が見たかったの?」
「あそこが烏山城の跡だとすると本当にそう思えるのか」
「見てどうだった?」
「それほど城に適した地形にも思えなかった」
「えー」
「それからあちこち走り回ったけど、特に収穫は無し。しょうがないから帰ろうと思って走っていると、とんでもないものが目に入った」
「なに?」
「小墓地」
「どこ?」
「ここ」
「で、小墓地だとどうなの?」
「このあたりの探索で分かったことだが、小墓地の存在は近くに神社の存在を示唆する可能性がある」
「本当に?」
「傾斜地だし。そう思って先に進むと自転車置き場になっている河川跡に出た。水にも近い。凄くいそれっぽい場所」
「なるほど……」
「どうも最初からここは分かれ道だったみたいだね。別れる場所に切られた木の跡がある」
「それは信じていいの?」
「さあ。証拠は何も無いよ」
雑感 §
「どうも、烏山は有力氏族が複数住んでいて、相争っていたように思えてきた。そうなると前提が変わってくる。烏山城は、それほど有利な地形ではないとしても城を構えねばならない。近所にライバルがいるからだ」
「それって本当?」
「さあ。ただの想像だから分からないよ」
「あれまあ」