「これはなんだい?」
「SDとHGUCのGフォートレスを作って並べた。それだけだ」
「ZZガンダムに変形するの?」
「しない。Gフォートレス形態でがっちり固定してある。変形を許すとふにゃふにゃして安定しないのでね」
「変形しないとバリュー半減じゃないの?」
「ロボになったらその方がバリュー半減だよ」
「ぎゃふん」
能書き §
「ここから先はあえて能書きを知りたい人のための説明だ」
「通常は、親子の飛行機に見えた時点でオシマイってことだね」
「それ以上見ようとは思わない」
「この模型のそもそもの出自は?」
「実はSDのZZガンダムのパッケージアートの額の波動砲が女性器みたいで非常に嫌らしく見えた。嫌なので、塗り方でもっと改善できないかと思って買ってみたのだが、実は模型本体は別に嫌らしくなかったので作る意味が無くなってしまった」
「とりあえず、SDガンダムのパッケージアートはダメってことだね」
「どの模型もSDガンダムはダメだね。パッケージアートだけ。ギスギスしすぎ。シールもそう。そのまま貼っても可愛くない」
「それで?」
「それとは別に、ヤマトの模型コンテストに関して【けるさん】が【親子で出られないのか?】と呟いているのを見た時に突然頭に【親子飛行機】という言葉が頭に浮かんでテーマになった」
「それで?」
「SDのZZはこれでもGフォートレスに変形するのだ。そこで、リアルなZZのGフォートレスと並べれば親子飛行機に見えるだろう、と思い付いてHGUCのZZガンダムも買ってきた」
「それで作ったんだね?」
「いや、パーツが多すぎて作っても作っても終わらなかった」
「ひ~」
「しかも、ZZガンダムからGフォートレスに変形するだけで新メカコレヤマトが一隻出来ちゃうぐらいの手間が掛かるのだ」
「親子飛行機は、HGUCとMGではダメなの?」
「それはダメだ。SDの丸っこいフォルムだから子供に見える」
いろいろ学んだこと §
「どんなことを学んだのだ?」
「1つはキャラクターモデルとしての飛行機の楽しみ方」
「もう1つは?」
「ZZガンダムのデザインの面白さだな」
「キャラクターモデルとしての飛行機の楽しみ方とは?」
「この場合、本当に飛びそうか。スピードが出そうか問うことに意味は無い。要するに飛行機らしい記号が詰まっていたらそれでいい、あとは形としての存在感があればいい」
「飛ばなくていいの?」
「むしろ、飛ばそうと思って頑張るとキャラクターモデルとしての面白みが無くなっていってしまう。そこまで行くと架空の実機に負けちゃう」
「どういう意味?」
「サボイアS-21はOKだが、バルキリーはNGだったということ」
「意味分からないよ」
「では次の話題。ZZガンダムのデザインとしての面白さ」
「それはなんだい?」
「ここには、ガンダム愛と、ガンダム批判と、ガンダム混乱の3つが混在していたと感じた」
「ガンダム愛とはなんだい?」
「初代ガンダムの肯定。荒唐無稽な無敵さ、角張ったデザイン、合体機構、Gアーマーっぽいフォルムなどが全てZZガンダムには詰まっている。それは玩具的な要素を肯定したものであり、つまりGアーマー肯定なんだ。でもね。それがリアルじゃない、というのは間違っていて、実際の戦争でも玩具みたいな兵器はいくらでも構想されているのだ」
「それはガンダム的なリアルの否定?」
「そうだ。一生懸命ガンダムが否定しようとした価値観、そのために持ち出された価値観、それらは全てずれている」
「それがガンダム批判なんだね?」
「そう。実はガンダムmk2やZガンダムは良く出来ているように見えるが、模型で作ってみるとそうでもない。あれはアニメーターが頑張って画面で格好良く見えているだけなんだ」
「じゃあ、ZZはどうなんだよ」
「デザインの方がアニメーターを上回っているので、模型を通じて立体形状を見るともっと面白い」
「ひ~」
「で、最後のガンダム混乱だね」
「それはなんだい?」
「このZZガンダム。実は上半身と下半身とコアファイターでデザインのコンセプトが全部違う」
「えー」
「同じメカのデザインとは思えない」
「どう違うんだよ」
「上半身の面構成は基本的にシンプルな角形なんだ。でも、コアファイターは丸っこい。下半身は凄く複雑な直線の集まりの面構成になっている。実際、模型で作ってると下半身は上半身より手間が掛かる」
「それはなんで?」
「WikiPediaを見ると、上半身は小林誠さんのデザインがストレートに出ているようなのだが、コアファイターと下半身は明貴美加デザインらしい」
「それで?」
「だからさ。ZZガンダムとして塗装もしないシールも貼らないで普通に作ると上半身と下半身が分離した別物に感じられたよ」
「テレビの画面で見ていてもそう思わないよ」
「それは描き方の問題だな。アニメーターの腕だろう」
「模型の商品写真も?」
「そうだな。商品写真なんて嘘っぱちだというのが今回良く分かった。上手く格好良く見せてあるけど、現物は違う」
「たとえば?」
「Gフォートレスを組んでもふにゃふにゃで安定しないなんて、写真を見たって分からないよ」
「ひ~」
「だからさ。ヤマトでも【このキャラは複数のデザイナーが描いた絵を合成したもの】という例があるけど、こういうキメラデザインはガンダムにもあって、明らかな混乱がこのとき既にあったのだろう」
「【僕の理想とするガンダム像】の違いからデザインが一貫しないわけだね」
「実は、その差分がZZガンダムというデザインに詰まっていて面白い。たった1つZZガンダムを組むだけで凄い情報量がある」
Gフォートレスの問題 §
「GフォートレスのイメージソースはGアーマー。これはいいだろう」
「それで?」
「でももう1つあった」
「なに?」
「Fフォートレス」
「なんだそれは?」
「フライングフォートレスだよ。B-17」
「Super Dimensional Fortressじゃないの?」
「いいや、いろいろな意味で特徴がかぶらない。やはりB-17だろう」
「どのへんがB-17なの?」
「先頭にコクピットがあって、その背後に連装の銃座。Gクルーザーは下に付いてるけどね。2連のビーム砲が」
「それから?」
「巨大な垂直尾翼は巨大なバックパックに化けている」
「それだけ?」
「いいや。B-17は4発なんだ」
「Gクルーザーはエンジンを翼に釣り下げてないじゃん」
「でも気づいてしまったのだよ」
「何に?」
「後から見ると巨大なノズルが4個並んでいることに」
「なんてこった」
「ちなみに、GフォートレスがFフォートレスなら、発展形でスーパーフォートレスがあってもいいじゃないかと思ったら本当にスーパーGフォートレスというのがあるらしい」
「スーパーフォートレスってなに? スーパーセーラームーンの親戚?」
「B-29だよ」
君の問題 §
「それで、そもそも君自身のメッセージ性はどこにあるんだよ」
「あっさり一言で要ってしまえば、ダックシャトル、マスター【ベースエクステンション】ガンダム、凸凹漫才ターンエーブラザース、今回の親機飛行機を一貫しているのは、ロボの否定だね」
「どこで否定しているわけ?」
「ここだよ」
- 膨大な数が出ているLBXを全て無視してダックシャトルだけ作る
- SDガンダムを【可愛い少年】的な解釈で作る。無機質なロボではなく、感情を持った存在にする (実はSDガンダムの原作通りではあるが)
- リアルガンダムもSDガンダムの兄貴と解釈してやはり人間的に作ってしまう
- 変形可能ならロボには作らない
「結局どこに問題があるんだい?」
「ここだろう」
ロボ偏重の問題 §
「結局はここだよね。明らかにロボ以外はオマケという商品構成。変形しても非ロボ形態は明らかに出来が悪い。ロボ形態優先で、難がある」
「じゃあ、Gフォートレスを作ってもダメじゃん」
「いろいろ塗装で誤魔化して改善している箇所もあるぞ」
「それってつまり?」
「そうさ。設定無視さ。普通にやると良くならないのでね」
「最初からロボ偏重なのだね」
「そうだ。飛行機形態など世を忍ぶ仮の姿なので、別に再現できなくて良いと思っているのだろう。問題はロボになる変形が可能であることで、それ以前の形態は鑑賞の対象ではないのだろう」
「バルキリーはファイターの方がバトロイドよりも人気があるんだろう?」
「それはバリキリーの話でガンダムじゃないからな」
「で、君としてはどう結論づけるんだい?」
「ガンダムはつまらん」
「それに対してどうリアクションするわけ?」
「ガンダム模型は飽きた。とりあえず、ここで一回おしまいにしよう」
「もう絶対に作らない?」
「そうとは言わないが、とりあえずロボはここでオシマイかね」
「じゃあ、これからどうするの?」
「中断していたジェレマイア・オブライエンの問題を解消するアイデアを思い付いたので、こっちを再開しようかね」
オマケ §
「実は、本来のZZガンダムというのを考えてしまうのだよ」
「本来の?」
「そう。この上半身に見合った下半身やコアファイターがもしも付いていたらどうなるのか」
「どんな感じだと思うの?」
「コアファイターは四角いだろう。翼を折りたたんで機首を曲げたらきっと直方体になる」
「リアルじゃない!」
「それがガンダムの似非リアルだ」
「じゃあ下半身は?」
「きっとキャタピラが付く」
「いやそれはちょっと……」
「小林誠さんは宇宙戦艦ヤマトにまでキャタピラを付けたことがある人物だぞ。ガンダムに付けるぐらい訳は無いだろう。あの人なら付けても不思議ではない」
「それって信じていいの?」
「ただの妄想だ。信じるなよ」