「なぜ見たの?」
「母が見たいと言ったから」
「主体性がないんかい」
「でも凄く面白かったぞ」
「どんな映画なの?」
「ホワイトハウスの執事になった黒人男の話かと思いきや、半分は息子の解放運動家の話だな。要するに黒人解放運動の映画だ」
「それが面白いの?」
「そうだ。なぜなら、過去のアメリカは今の日本と重なるからだ。けして可哀想な黒人のお涙頂戴の映画には見えない」
「それはどういうこと?」
「KKKみたいな差別運動している連中が今の日本にはうじゃうじゃいるってことだ」
「なんてこった」
「だからさ。ネットで中韓叩いて喜んでいる連中はあと数年で白いかぶり物で顔を隠して徒党を組んで襲撃を始めるぞ」
「逮捕されちゃうよ」
「大丈夫だ。政治家にも差別主義者は多い。彼らの影響圏内ではやりたい放題だろう」
「それじゃ法治国家じゃ無いよ」
「無論その通り。この映画でも【法律を決めても施行されない】と悩む大統領が出てくるわけで、結局は同じことだ。この映画は過去のアメリカを描いているが近未来の日本を描いているとも言える」
「もしかして、差別反対って言うと日本人でも襲撃されるのか?」
「当然そうだろう。【差別に反対するなんて、こいつが日本人であるわけがない。在日に決まっている】という理屈で勝手に朝鮮名をでっちあげれば襲撃可能」
「でもさ。差別反対って、とても普通の考え方じゃないか」
「そうだよ。別にどこにでもそういう人はいる」
「日本は嫌な国になりそうだね」
「そんなことはないぞ」
「えっ?」
「既に嫌な国だよ」
「ぎゃふん」
「まあそれはそれとして、音楽良かったね。特にエンドロールの後半の曲は良かったよ」