「これを見た理由は?」
「映像特典のダイナミックスーパーロボット総進撃!!にゴーバリアンが出てくるらしいので」
「出てきた?」
「レンタル版には収録されていなかった」
「ぎゃふん」
「でもいいのだ」
「なんで?」
「凄く面白かったから」
「それに意味があるの?」
「ある。実は借りる前に見たレビューの評価がイマイチだった」
「でも面白いのでしょう?」
「そうだ」
「なんで?」
「これはアニメクライシス21Cに包含されたアニメの1つなのだろう。志を高く持ち、独立して見られる1本の作品にまとめると、それは越えがたい壁を越えてしまう。これは、一般的なロボットアニメが好きなマニアの受容範囲を超えてしまっている」
「どこが超えてしまったの?」
「始まって終わる物語として、1本の筋が通っているし、きちんと作ってあるが、TVアニメのようなお約束を4本……と思うと違うと思うよ」
「どっちが正しいの?」
「もちろん、普通は真ゲッター対ネオゲッターの方が正しい」
「ふーん。他にも何かありそうだね」
「そうだ。実は肉弾戦が多く、最終的にロボと搭乗者が1つに融合しそうになる。ロボットの身体に搭乗者3人の顔が浮き出すような描写がある。つまり、意識的にロボットイコール搭乗者なのだよ。ある種の象徴的な表現が巨大ロボットなのだ。ただの似非兵器に過ぎないリアルロボットよりも上等な描写だ」
「ひ～、それはオタクが不得手な間接表現だ」
「それにね。コクピットは安全な個室では無いのだよ。隠れることができない。ロボの装甲もTシャツぐらいの遮断力しか無いのだ」
「恐いね」
「その怖さが魅力だ」
「ゲッターとしてはどうなの?」
「うむ。いい質問だ。自分にとってのゲッターとは、ムサシの死とゲッター3なのだ。開始早々、ムサシとゲッター3が登場し、しかもムサシがすぐ死ぬというのはまさに自分にとってのゲッターという感じがしたよ」
「ゲッター線の設定は、君が見ていたアニメと言うよりも、石川賢版コミックでじゃないの?」
「その辺はこだわってないから」
「ひ～」
「それから巨大ロボのテキサスマックが馬に乗って出てくるのも良かったね」
「巨大馬……」
「結局、ロボは人のメタファに過ぎないわけで、テキサスマックは馬に乗って正解だ」
「リアルじゃねえ」
「似非リアルよりも本質に肉薄しているよ」
それはそれとして §
「東京の地理を凄く正確に描写しているのは良かったね。特に桜田門周辺とか」
「場所が分かるのかい」
「分かる分かる。分かるように描いてある」
「うーむ」
「だからね。現実に存在する場所の現実に存在する建物と対比する形で巨大ロボが描かれるので、大きさが体感的に分かりやすい。これ非常に重要な長所」
