「ああそうか。おいらもまだ引っ張られていた」
「なんだよ」
「追憶の航海でEX178は反乱軍という解釈なんだよ」
「なんで?」
「あまり複雑な設定は持ち込めないので。メルダの立場は基本的に変更されない。だから最初から反乱軍なんだ。従って、EX178も反乱軍の船。証拠は肌色の艦長が指揮している。そして、問答無用にワープアウトしたガミラス艦からEX178が撃沈される理由は反乱軍だから」
「いきなり味方を撃沈する描写はそういう解釈か」
「だからメルダとエリーサはもともと同志。実はディッツも反乱軍。正体を隠して高官をやっている。だから、それを知っているゼーリックはデスラー暗殺の罪をディッツになすりつけようとした」
「ドメルは?」
「ドメルはデスラーに気に入られている。しかし、ドメル自身がデスラー好きかというと、そこは分からない。あくまで命令ならヤマトを討ってくるという立場を崩さない」
「まさかと思うが」
「そうだ。墓場で奥さんと会っているが、息子の話が一切出てこない。実は反乱軍の密談だったという可能性もある」
「そこも解釈が違うわけだね」
「そうすると、ひらすら【バレラスは変わった】しか言わないドメルの意味が見えてくる」
オマケ §
「追憶の航海は100点満点で180点あげてもいい」
「それは上げすぎ。そもそもなんでそこまで高得点なんだよ」
「以下の3点が全て成立しているからだ」
- ヤマト2199ファンの思い入れを裏切らない
- 旧作ヤマトファンの思い入れを裏切らない
- 筋の通った1本の映画にする
「それが凄いことなの?」
「そうだ。全部達成目標が違う。通常、1本の映画をきちんと作り上げることを100点とすれば、条件さえ揃えば100点は難しくはない。才能のある人間と予算を集めれば可能だ。しかし、それに条件が付加されると急にハードルが上がる」
「リメイクの難しさだね」
「そう。たとえばWXIIIという映画があって良く出来ているし好きではあるが、同じ水準には達していない」
「なんで?」
「ロボットアクションが好きでシリーズを見てきたファンの心まではフォローできていないからだ」
「その人達の評価は低いってことだね」
「そうだ。しかし、追憶の航海の場合、基本的なラインは2199から変更されておらず、主要なキャラクターはほとんど顔を見せる。あのシーンが無いという苦情はあっても、100%の致命傷にはならない。2199は肯定されているからだ」
「そうか」
「しかし、それはそれとして、【こんなの2199じゃない】という意見が出てくるのも良く分かる」
「なぜ?」
「以下の3要素のうち、下の2つは2199の要素ではないからだ」
- ヤマト2199ファンの思い入れを裏切らない
- 旧作ヤマトファンの思い入れを裏切らない
- 筋の通った1本の映画にする
「2199は肯定されているが、2199ではない要素も含まれるってことだね」
「しかし、それらは2199的な要素と喧嘩する形で挿入されているわけではなく、あくまで無理なく馴染む形でスムーズに挿入されている」
「それにも関わらず一部の要素は喧嘩しちゃうわけだね」
「そうだ。追憶の航海解釈と相反する描写がTVシリーズには存在するからだ」
「で、君はどっちを取る?」
「追憶の航海」
「TVシリーズを否定する理由は?」
「TVシリーズは足し算でできているが、追憶の航海は引き算でできているからだ」
「は?」
「引き算って言葉は、BDのオーディオコメンタリーに出てきたら間違った言い方ではないと思うよ」
「全部聞いた?」
「それはまだだ」