「これはなんだい?」
「演劇のDVD」
「なぜ見たの?」
「それはね。社長で検索しているときに引っかかったのでついでにリストに入れて置いたからだ。映画だと思って」
「でも実際は演劇DVDだったのだね?」
「そう」
「見てどうだった?」
「面白い」
「どこが面白い?」
「実は場面転換が存在しない。たった1つの部屋と固定された数名の役者が入れ替わり出入りするだけだが、1人の人間が複数の顔を持つことで、非常に込み入ったコミカルな話が成立している。面白い」
「それだけ?」
「いやいや。それ以上に面白いが、社長を引退させるクーデターが失敗したのに社長が引退してしまうという皮肉な筋書きだ」