2014年11月13日
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三百字小説『選管対戦艦』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 選挙が迫っていた。

 選挙管理委員会は、選挙を準備した。

 しかし、戦艦はそれに不満だった。金食い虫の戦艦の予算削減が争点になるのは目に見えていたからだ。

 そこで、戦艦は投票場を砲撃して破壊してしまった。

 選挙は無効になり、政権は変わらなかった。

 戦艦はホッとして補給を受けるために母港に戻った。

 しかし、燃料も弾薬も受け取れなかった。

 「なぜだ。砲弾が無ければ戦艦もただの船だ」

 「選挙が無効になったので、新年度の予算が成立できず、燃料も砲弾も買えないのです」

 「こんなとき敵が攻めてきたらどうするんだ」

 「今や国家の敵は戦艦のあなたなので……」

(遠野秋彦・作 ©2014 TOHNO, Akihiko)

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