「星巡る方舟の感想を頼む」
「批判がましいことはこのタイミングでは言わないぞ」
「良かった点だけでいいよ。それとも良かったことは1つもなかったのか?」
「そんなことはない。主に3点ある」
「ではその3点を教えてくれ」
その1・音楽が良かった §
「スクリーンに入ると上映前に音楽を流していたが、良いアレンジのガトランティスの音楽だった。間違いなく宮川彬良さんにはガトランティス愛がある」
「音楽が良かったのだね?」
「凄く良かった。TVシリーズのヤマト2199の煮え切らない雰囲気を吹っ切るようなゴージャスさで迫ってきたよ」
「かなりいろいろあったものね」
「音楽にこそドラマがある。煮え切らない部分が残る音楽が本当に良いところに進んでいったと思うよ」
その2・赤毛のアンが良かった §
「相原の交代要員のおさげの女の子(市川純)は、2199で最も、というかメジャーキャラではほとんど唯一まともな女の子ではないかな。あのキャラクターは非常に良かったと思う」
「それはもっと厳密に言うと、どういうこと?」
「ヤマトに乗っていて不自然ではない、という意味ではヤマト2199の主要女性キャラはみんな失格だった。本当に【ヤマトは幼稚園じゃないんだぞ】という感じの世界。たとえばね。榎本の横に立たせて違和感が無い主要女性キャラはいない。赤毛のアンだけは、横に立たせても違和感が無い印象だったよ」
「アンだって?」
その3・壊れる展望室が良かった §
「側面に飛び出している展望室が壊れるアイデアは良かった。飛び出していれば壊れて当たり前。しかも、本当にぎりぎりの近くを通ったことが分かって、スリルもある。ヒヤヒヤ感が共有される」
「それなら第3艦橋でも良かったのでは?」
「第3艦橋の破壊は2199では禁じ手にされている。慣性制御をそこでやっているからだ」
「だから代役で展望室が犠牲に」
「話は終わりだね」
「じゃあ、スッキリしよっか」
「風呂がもうありません!」
その他 §
「あとは可愛い少年兵が良かったかな」
「なんで?」
「子供が制服着て精いっぱい背伸びして軍人を手助けしようとしている光景は、ガミラスの【切羽詰まった感】が良く出ている。無敵ガミラス今いずこってね」
「なぜこれを良かったことの4点目にしなかったのかい?」
「だって、最初だけ出てきて、それっきりだもの」
まとめ §
「それでこの映画はオススメ?」
「映画は嗜好品だからね。好きか嫌いかはその人次第。ただ見ないで結論は出ないので、1回は見に行くと良いと思うよ。それで気に入ったら何回でも見ればいいし、気に入らなかったらお好みのヤマトのブルーレイをAmazonでポチすれば良い。それだけだ。他人の振る舞いに何かを強制する気は無いよ」
「では君の行動は?」
「複数の場所でヤマト2199はこれで終わりという声が聞こえるから、おいらはおいらの最前線に戻るよ」
「君の最前線とはどこだい?」
「過去だ。今は1940~50年代が主戦線かな」
「そこまで戻るとオタク文化は無いぞ」
「オタク達の元ネタは、ゴジラで50年代。おおむね70年代から80年代が元ネタのメインだろうがね。今見ているのは元ネタの元ネタの世界だよ。アニメ特撮は何か素晴らしいものを創造していないことが良く分かる」
「また社長シリーズを借りているのかい?」
「そうさ。今のメインテーマだ」
「なんで?」
「ヤマトクルーの会報で大倉さんが社長シリーズに言及してただろう?」
「それだけ?」
「いや、今は自分の興味で見ている」
「どこに興味があるわけ?」
「その当時の最新旅客機がかなりの高確率で出てくる。面白いぜ。社長忍法帖に出てくるコンベアCV880とか」
「コンベアってどこかで聞いたことがあるような」
「B-36のメーカーだよ」
「ピースメーカーね」
「そう。それだ」
「なんで爆撃機が」
「違うよ。そのメーカーの旅客機を日本航空が使ってたんだよ、昔は」
「ひ~」