2015年01月08日
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三百字小説『殺人集団タンマ団』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 タンマ団は殺し屋集団だった。

 必殺技は「タンマ」。タンマとは、遊びの途中で休む子供の言葉だ。

 「ちょっとタンマ」と言うことで、あたかも本物の殺人ではなく、スパイごっこのように相手に思わせ、油断を誘ったのだ。

 今日の殺し屋7号のターゲットは、ルンバ三世だった。

 いつも通りターゲットに叫んだ。「ちょっとタンマ!」

 普通の相手ならギョッとして意味を図りかねて硬直するところだが、相手は即座に振り向いて殺し屋7号を射殺してしまった。

 「なぜ、タンマと言ったのに待たない」

 「オー、アイムソーリー。ワタシニホンゴワカリマセーン」

 相手はルンバ三世ではなく日系三世だった。

(遠野秋彦・作 ©2014 TOHNO, Akihiko)

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