2015年03月19日
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三百字小説『殺人集団ゲンマ団』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 ゲンマ団は殺人集団だった。

 正式名称は霧の中だが、指切りげんまんで契約するので、その名が付いた。

 約束を破ったら敵でも味方でも客でも指を切る集団だったのだ。げんこつで一万回叩いたり、針千本を飲ませることすらあった。

 だが、ゲンマ団で地獄派と穏健派の内部抗争が勃発した。

 人々はそれをゲンマ大戦と呼んだ。

 地獄派は穏健派に和平交渉を約束して呼び出すと皆殺しにした。

 「ついにゲンマ大戦に勝ったぞ。我々の天下だ」

 「でも嘘を付きました。指を切るのは嫌です」

 「大丈夫だ。生き残ったのは我々だけだ」

 だが、穏健派は嘘つきに針千本飲ませるべく、針山地獄で待っていた。ゲンマ団は全員が地獄に墜ちるのは確実だったのだ。

(遠野秋彦・作 ©2015 TOHNO, Akihiko)

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