「凄く良く出来ているので感心した」
「どこが?」
「ちゃんと、最初に提示した主題を回収して終わっているし、登場人物に無駄がない」
「無駄が無いとは?」
「たとえば、5人の父親と爺さん。それぞれにきちんと役割と見せ場が割り当てられていて、無駄ないるだけキャラが少ない。そういうキャラはモブ化している。まあ主役の6人については冗長なのだがね。でも、そこは主役だからしょうがない」
「なるほど」
「恐竜殿様はだね。実は怠惰の象徴としての恐竜なのだ。元の姿に戻っても、別にイケメンというわけではない。そういう意味で、実は世代ヒーロー論の第3世代ヒーローに近い存在であり、今どきの最先端ヒーロー映画の前に出しても恥ずかしくない」
「じゃあ恥ずかしいのは?」
「実は同時上映のバイクに乗らないヒーローはちょっとヒーロー像に工夫が少なく世代的に古いヒーローでしかない」
「では、この映画に満足したわけ?」
「満足した。特に前半は完全に忍者映画として作られていて、たまには忍ぶニンニンジャーとかな。ニンニンジャーらしいというよりも、忍者映画らしかった。もちろん。ニンニンジャーの各人のキャラクター性はちゃんと出ていたけどね。変身ヒーローのニンニンジャーらしくはなかった」
「好ましい意味で、ニンニンジャーらしくなかったのだね?」
「そうだ。もう1つは、この映画でもっとも決定的な役割を果たしたのが、影が薄いニンニンジャーの父親だという点だな。でも、殿様の背中を押すひと言は彼にしか言えない。非常に登場人物の使い方が上手い」
ロケ地 §
「城は彦根城らしい」
「なぜだろう?」
「たぶん、甲賀と伊賀に比較的近いからだろう」
「他には?」
「ちゃんと本物の城をロケ地に使っているから映像の厚みが違うよ」