「実は改めてドメルのことを考えていて1つ思い至ったことがある」
「それはなんだい?」
「バラン基地を囮にヤマトを仕留めようとした行為はデスラーから浪費家と言われた」
「うん」
「でもね。バラン基地に大艦隊を率いて赴任することも、作戦に一切関与しない大艦隊をバラン近くに待機させていたことも、浪費と言えば浪費なんだよ」
「つまりなんだい?」
「ドメルはもともと浪費家で、不必要なコストを使う傾向があって、デスラーはしばしばそこを直すように言ってきたのだと思う。でも、ドメル本人は分かってなかったのだと思う」
「分かってないから浪費を止めないわけだね」
「そう。でも、最終的にデスラーから直接的な表現で文句を言われて始めて気付いて衝撃を受けるのだ」
「そうか。でもさ。そのアイデアのいったいどこが良いわけ?」
「うん。そこだ」
「どこどこ?」
「このアイデアの長所は、ドメルはバラン戦を契機に倹約の精神を学んだ点にある」
「それで?」
「だからね。ヤマトを仕留めるのに十分な戦力しか七色星団に連れて行かない。巨大な旗艦は不要だから小さな円盤旗艦に乗る。必要とされるのは空母4隻だけなので、それだけ連れて行く。護衛艦も連れて行かない。瞬間物質移送機で艦載機を送り込むなら、護衛は要らないからだ」
「なるほど」
「でも薬が効きすぎた。最低限の戦力しか持っていかないので、歯車が狂うとあとは命で勝利を買うことしかできない」
「本当は、予備戦力ぐらいは持っていっても許されたはずなんだね」
艦隊の問題 §
「では、ドメルの指揮下にあった大艦隊はどこにいったのか。なぜヤマトの前に出てこないのか」
「なぜ?」
「そもそも、波動砲を持ったヤマトを前にして艦隊は有効ではないと思われたのではないか」
「あっても出撃させなかったと?」
「そう。むしろヤマトをガミラス本星に閉じ込めた方が良い」
「なぜ?」
「ガミラス本星で波動砲を使えば、イスカンダルにも影響が出るはずだからだ。さすがに、そこまで来るとヤマトは波動砲を使えないはずだ」
「でも撃ったよ」
「撃った結果として、実際にイスカンダルにも影響が出ていた」
「ダイヤモンド大陸のホワイトキャッスルだね」
古代守の問題 §
「守、愛してるわ、守」
「スターシャ……」
「実際、ヤマトがガミラス星で撃った波動砲のおかげで、イスカンダルにも影響が出ています」
「分かったよスターシャ。責任を取って僕がイスカンダルに残ろう」
「これぞイスカンダル流、損して得取れ。ブイ」