2015年09月01日
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感想・映画「テッド2」【ネタバレ注意】

Written By: トーノZERO連絡先

「思ったよりも面白かったな」

「どこが?」

「下品。ゲイ臭い。当たり前のようにヤクを決めてグダグダになる」

「ひ~」

「まあ、その分だけ本音に近いってことは言えるだろう」

「なるほど。長所だね」

「でも、あそこまでやったら、とてもテレビでは放送できまい。R15だしな」

「ひ~」

「さて、内容的にはコミコン会場が出てきて、スターウォーズもスタートレックも忍者タートルズも何でもありの世界になだれ込むことがポイントかな」

「それで?」

「実はコミケ中止命令を思い出しだよ。あれはコミケで騒動が起きて、会場を走る王族の護衛がセイントに見えた……という話だったと記憶するがね。こっちはテッドがイウォークに見えたという話だったようだ」

「なるほど」

「まさかね。アメリカ製の最新映画でコミケ中止命令を思い出すとはね」

「そこが予想以上の面白さ?」

「ちなみに、会場にいた金髪の男は、スーパーサイヤ人の孫悟空なのだろうね。似てないけど」

「えー」

「ハズブロ社とかマテル社とか実名で言って良かったのかな」

「そこも辛辣なところだね」

「しかし、いちばん面白かったのはね。ヤクをキメる文化と、アメリカ版オタク文化が直結したことだよ」

「それはなに?」

「だからさ。アメリカのロック文化と日本のオタク文化は同質だという仮説を持っていたわけだがね。同じ映画の中でアメリカ版が並列に語られることで【やはりそうか】と思ったのだよ」

「は?」

「ロックはカウンターカルチャーの1つで、そこには麻薬も含まれる。そういう文化が先行してアメリカに存在し、それに少し遅れる形で日本でオタク文化が成立した。両者は基本的に同じような立場に立っていると考えている」

「同じような立場とは?」

「【成長の拒否】だよ。【社会はありのままの自分を承認せよ】ということだ。それは社会の豊かさによって存在を許容される。しかし、それは社会の主流派にはなり得ない。どれほどの理屈を積み上げようとも、現実からの逃避行動で社会が直面する問題は解決できないからだ。だから、社会は豊かさを根拠にそのような立場を許容できるが、主流派にはなれない」

「その話とこの映画のどこに関係があるの?」

「この映画に出てくる若手美人弁護士は、ジョンやテッドと同じ世界には住んでいない。ジョンやテッドが常識的に語る単語のことを何も知らない。住む世界が最初から違うのだ」

「住む世界が違うのに知り合って結ばれるの?」

「そう。それは彼女が弁護士であり、ジョンとテッドは弁護士を必要としたからだ」

「社会的な機能が本来接点の無い者達を結びつけるわけだね」

「それに、彼女もヤクをキメていて、そういう意味では接点があった」

オマケ §

「で、どこが見せ場だと思う? エンタープライズ?」

「作品で最も重要な役割を担ったのはエンタープライズだと思うがね。でも見せ場という意味では、スペルマまみれのジョンとか。スペルマを採るために深夜の他人の家に忍び込むとか。その辺の、ホモ臭いシーンの数々だろう」

「ホモがいいの?」

「良いとは言わないが、かなり意外性があった」

「わかった。スペルマまみれのAV女優ならいくらでも映像が存在するが、一般の映画館で上映する普通の映画で、スペルマまみれの男の顔が見られるのはかなり意外ってことだね」

「実に皮肉でそこはよろしい」

オマケその2 §

「前作で、テッドがやんちゃするごとに認めてくれた雇い主が、今作ではあっさりテッドをクビする。しかし、あとから考えて良く分かった。あれはね。テッドが真面目に働いているからクビになったんだよ」

「彼の承認を得るには、やんちゃしないとダメだってことだね」