巡洋艦マヤの艦長はこの船を愛していた。かくして付いたあだ名は巡洋艦摩耶夫人だった。
ある日、マヤのエンジンを取り外してフリゲートを建造することになった。
しかし、愛を注がれ整備されてきたエンジンはパワフルであり、試験航海でどこか遠くに飛んで行方不明になってしまった。
捜索艦隊に参加した艦長は必死に愛を注いだエンジンを探した。
しかし、いくら探しても見つからない。
思い余った艦隊司令は、艦長の愛の力に頼ることにした。
「息子はここにいる! その上、送り出したときとは違う何かに既に変化している」
艦長は宇宙地図を指さした。
捜索艦隊はついにフリゲートを見つけた。
だが、フリゲートは、既にお釈迦になっていた。
(遠野秋彦・作 ©2015 TOHNO, Akihiko)