2015年10月29日
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三百字小説『ネズミのフィットネズ』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 フィットネズはフィットネスクラブの屋根裏に住んでいるネズミだった。

 ここは天国だった。

 なぜなら、レストランに忍び込んでこっそり料理を食っても、【ダイエット用に量を減らしてある】と解釈されて客から文句は出なかったからだ。

 ある日、フィットネスクラブに猫が来た。

 「俺の名前はキャットネス。ネズミが大好物の猫だ」

 「なんだと?」フィットネズは驚いた。

 「しかも、最近太りすぎだからついでにダイエットもしようと思う」

 「ならば食事を減らせ。人間達もみんなそうしているぞ」

 「ネズミを追いかければ良い運動になって痩せるさ」

 「ダメだ。運動のあとで満腹したら痩せないぞ」

 「そうかな」

 「そうとも」

 その一言で彼は生き延びた。

(遠野秋彦・作 ©2015 TOHNO, Akihiko)

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