2016年01月20日
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UQ HOLDER連載第109回感想【ネタバレ注意】

Written By: 川俣 晶連絡先

「つまり、ノスタルジックな古い学園という空間は、心をリラックスさせて本音を出しやすいようにしていたわけだ」

「えっ?」

「うん。最初の夏凛はブルマ。ぎりぎりまで露出しているファッション。これは、本音をさらけ出す寸前の心理の反映。しかし、途中で制服に切り換えるが、これは本音を隠す心理の反映。あるいは本音を守る心理の反映」

「身体を隠すことが、心理を隠すことの間接的な表現なのだね」

「そうそう。しかし、制服は刀太に破壊される裸になる。すると、もう本音を守るものはない、という間接的な表現だ。心はさらけ出されてしまった」

「じゃあ、刀太が服をかけるのは?」

「つまり、新たな心の庇護を刀太が提供するという間接的な表現だ」

「じゃあ、最後に閉鎖空間を割って雪姫が出てくるのは?」

「本音空間の崩壊だ」

「なぜそこで壊れるの?」

「つまり、本音空間でも物語は、【刀太が新しい庇護を夏凛に授ける】という表現で終了するからだ。物語の終わりを告げるために雪姫は出てくる。そういう役回りだ」

「で、感想は?」

「いや、面白いねえ。表現が多層的で、単にエッチだから裸にしているわけではない。ブルマにも意味はある。それが分かっていないで読んでいる子供達もいつか分かる。たぶん」

「それはどうポイントなの?」

「基本的に絵に描いたものしか描けないマンガで、見えない心理を描くのは難しいから、そこは表現を工夫するところだ」

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