「ここまで見るのが苦痛だった映画は滅多に無い」
「つまらなかったの?」
「いや。単につまらないだけならまだマシ」
「どういうことだい?」
- 日本ロケを本格的に行っているので、一応背景の多くは日本だが、どう見ても言葉が日本人らしくない人たちがうろうろしている。一応日本語は話しているが、いろいろ怪しい。言葉の選び方もおかしければ発音もおかしい
- 屋内のセットはアメリカ本国に作ったようだが、日本のような中国のようなそれでいてどちらでもないような摩訶不思議な内容になっている。その中で演技する連中も何国人だか分からない
- つまり、屋内から出たり入ったりするだけで、明らかに別の世界にワープしている。ギャップがとても追い切れない
- 日本観がそもそもおかしい。アメリカ人の考えた日本観。それなのに本物の日本が背景に入るからますます分かりにくい
「結局、どうなんだ?」
「アメリカ人は非アメリカ的な世界に憧れるからそういう世界を描くが、それは日本でも無いし中国でも無い。それなのに強引に日本ロケをするからどんどんおかしくなる。もう話が追い切れない。せめて日本の映画か中国の映画かアメリカの映画ならまだ追える」
「それだけ?」
「しかも、シナリオがクズなので、話が面白くない」
「ひぃ~」
「どこの誰かも人からの通報で警官隊が相手を確かめずに発砲してすぐ殺すとか。いくら1955年でもそれはないでしょ。日本の警察なめてるでしょ。いくらなんでも名乗らない相手の言い分を丸呑みするわけないでしょ。そこはシナリオが安直すぎる」
「何か良いことを1つぐらいは言ってくれよ」
「浅草のデパートの屋上の遊園地は良かった。1955年、デパートの屋上に子供を乗せたミニ電気機関車が走っていたのが分かるのは面白い。隅田川や浅草寺も見えた」